「小学校に入ったらすぐに塾に通わせたほうがよいのでしょうか」。そんなお悩みを持つ保護者のかたもいらっしゃいます。しかし、中学受験の準備を早めれば早めるほど、子どもがそれ以外の遊びに費やす時間が減ってしまうもの……。では、いったい、どのくらいから準備をスタートしたらよいのでしょう?
ガミガミ言わなくても勉強する子に育てる! 家庭教育講座「かおりメソッド」を開講しているママプロジェクトJapan代表の岩田かおりさんは、小学校4年生までは偏差値以外の軸で子どもを見守ることが大事だと語ります。その背景とともに伺いました。

この記事のポイント

  • 小学校入学と同時に入塾の検討を始めるべき?
  • 子どもには自己決定・自己表現させる経験こそ重要
  • 1〜4年生は偏差値以外の軸を持とう

小学校入学と同時に入塾の検討を始めるべき?

保護者のかたの中学受験を検討するタイミングが、年々早まっていると感じています。最近では、お子さんが保育園や幼稚園の年長さんになると中学受験の検討を始めるかたがいらっしゃるほどです。入塾競争があり、早めに検討を始めたいという背景もあるでしょう。

しかし、お子さまの小学校6年間を偏差値を上げるための学習だけに費やしてしまうことは非常にもったいないことです。
そもそも、これからの社会では難関校の受験に突破したからといって、また有名企業に入ったからといって、人生安泰ではありません。偏差値が高いからといって幸せが約束されているわけではないのです。私は、いわゆる「王道のレールに乗ればよい」という考え方が、オールドファッションになっていると感じています。

これからの時代は、自分で考えて表現ができる力や自己決定できる力などのほうがずっと大切です。子どもらしい体験をせずに机に向かった勉強にばかり時間を割くことで、そうした力を早くから潰してしまいかねません。
低学年のうちは、遊びの中から体験的に学んでいくことが大切です。そして、受験に向いている子ならば、4年生くらいから入塾を検討するとよいのではないかと考えています。

子どもには自己決定・自己表現させる経験こそ重要

これからの時代に生きる力を養うにはどうしたらよいのでしょうか。私は、遊びやお手伝い、色々な人とのコミュニケーションなど様々な体験をすることが重要だと考えています。ご家庭では、一緒に料理をしたりクイズを出し合ったりするなど色々な可能性があります。小学生での学びは、ドリルを開くだけではないのです。

私が自己決定力を養うために大事にしていたのは、子どもたちに買うものを決めさせることでした。
例えば、「腕時計がほしい」と子どもが言ってきたとしますよね。そうしたら、「3,000円までね」など、保護者としてのラインを示した上で、インターネットで探してみる。「赤色のがほしいんだよね」と言ったら、「うん、『腕時計 赤』で検索してみたら」といったアドバイスを挟みながら考えさせます。ほしい物を一つに定め決めることは、情報を集めて、自己決定する力の育成につながり、この力は社会に出てから必ず必要となる力です。

こうしたことを積み重ねていくと、中学生くらいになるとほしい物についてプレゼンテーションするようになります。「これがほしいです。この商品には、こんな効果があって、何年使う見込みです。これだけ使えば元が取れます」といった話を、パンフレットやスマートフォンの画面で見せながら語るようになるのです。自己決定力や表現力はこうした体験から養っていくことができるのです。

1〜4年生は偏差値以外の軸を持とう

偏差値以外の評価軸は、無数にあります。それこそ、100も1000もあると思うんです。お笑いの業界でイメージしてみるとわかりやすいかもしれませんね。「ボケがいい」「ツッコミがうまい」だけではないですよね。「リアクションがおもしろい」「顔芸が最高」「一発芸がある」「モノマネができる」など色々な特徴があって、番組に呼ばれるようになっていきます。

偏差値はそうした特徴の良さを全て廃して、たった1つの指標だけで子どもを評価しようとするものです。そこに対して、「無理がある」って思いませんか。
特に小学校1年生から4年生までは、「ユーモアがあるよね」「笑顔がいいね」「お話するのが上手」「足が速い」「手先が器用」などそれぞれの良さを認められることで、自分自身への自信につながります。

長く塾に通っていると、子どもも保護者も偏差値だけの指標で推し量るようになりがちです。だから、4年生までは色々な評価軸や価値観を知った上で、中学受験が向いている子には、「今度はこの評価軸のところで勝負しよう」と偏差値での勝負に移っていくことが大切なのです。そして、その偏差値の土俵で勝負する期間は2年ぐらいで十分なのではないかと私は思っています。

子どもの発達段階に応じて、体系化した学びができるようになるタイミングは異なります。保護者のかたが焦ることで子どもの持っている良さを潰してしまう可能性があるのです。現在の中学受験では、「プログラミングの知識が豊富」「絵がうまい」「スポーツが得意」などは全く評価されないですよね。その得意を余計なものとして扱ってしまうことはもったいない。
小学校に入ったらまずはお子さんのよさを見つけて、伸びていくのを見守っていく。それを大切にしてください。

まとめ & 実践 TIPS

小学校に上がる際に、「中学受験の準備をしなければいけないのではないか」と不安になる保護者のかたもいらっしゃいます。小学校の6年間はこれからの社会を生きていくために必要な力を身につける大事な時期です。
例えば、自己決定力を高めるには、ほしいものを自分で選び、自分で決める経験を積ませることが大切です。

そして、偏差値では測れない子どもの個性を発見し、伸びていくことを見守るタイミングだと考えましょう。偏差値は一つの指標にすぎないと保護者も子どもも理解した上で、中学受験に向いている子ならば小学校4年生以降から受験準備を始めてみるのも一つの方法でしょう。