進路がなかなか決まらずに悩む高校生は多く、その結果、大学受験直前に偏差値などを参考に志望大を絞り込むケースも多いです。
ですが、できれば偏差値だけではなく、自分のやりたいことや興味・関心に合った学部や大学を志望に選びたいものですよね。では、いつ、どんなアクションを起こせば納得度の高い進路決定につながるのでしょうか?
そして、保護者のかたがお子さまの進路決定に向けてできるサポートは?

そこで、進研ゼミ「高校講座」進路指導センターで20年以上にわたり、高校生の進路選択・大学受験支援に従事してきた西野貴昭さんに話を聞きました。進路検討にあたって役立つ行動や考え方をご紹介します。

この記事のポイント

  • 進路が決まらない、と悩むのは普通のこと
  • 進路が決められない理由
  • 進路の種類 それぞれの特徴
  • 進路を決めるためにできること
  • 子どもの進路のために、保護者ができること

進路が決まらない、と悩むのは普通のこと

「進路が決まらなくて焦る!」と思う高校生もいれば、「うちの子、高校2年生になるのに進路が決まらなくて大丈夫かな? 周りは決まっていそうなのに……」と不安になる保護者のかたもいるかもしれません。
高校生になると、1年生で文理選択、2年生で科目選択がある学校が多く、1年生のうちから進路決定に向けた指導などが行われます。
高1→高2と徐々に絞り込んでいければベストですが、お子さまが将来のことをしっかりと考える機会でもあるので、「早く進路を決めなきゃ!」と焦る必要はありません
また、進路は途中で変更することも可能です。
ただ、将来の夢が明確に決まっていれば勉強のモチベーションも高まりやすいのは事実。
そこで、進路決定につながりやすい知識やアクションを押さえておきましょう。

進路が決められない理由 学年別TOP3

「なぜ進路が決まらないか」はさまざまな理由がありますが、学年ごとにある程度の傾向はあります。
進研ゼミ受講中の高1〜3年生を対象に実施したアンケート調査の結果をご紹介しながら、「決められない理由」を学年別に見ていきましょう。

高1:やりたいことがなく、進路が決められない

高校1年生の「進路に関する悩み」上位は、以下のようになっています。

まだ高校に入学して間もないこともあり、「将来どんなことがしたいか」を考えきれていないケースが多いです。
「総合的な探究の時間」の授業で進路学習に取り組んだり、高1の後半期に文理選択をしたりするなかで、進路について考える機会は増えてきます。
ただ、「好きなことはあるけれど、大学の学びとつながらない気がする」「気になっている大学はあるけれど、そこで何を学んだらよいかわからない」など、まだ進路を現実的に検討できていないケースも多いと考えられます。

高2:仮決めしたが、迷っている

高校2年生の悩みを見ると、「決めたが自分に合っているか自信がない」という項目が2位に挙がっています。

2年生になると、「志望大は何となく決まっている」という声が増えてきます。
ただ、「今の学力だと合格は難しいかも……」「周りに言われて何となく志望大・学部を決めたけれどこれでいいのかな?」など、意志を固めきれていない場合が多いようです。

高3:学力ギャップや進学後の将来に不安

高校3年生になると、「入試科目に苦手科目がある」という現実的な悩みが上位にランクインしてきます。

一方で、現実的に進路を決めて受験勉強に取り組む中で「本当にこの進路で大丈夫かな?」と、将来のことを考えて迷いを感じるケースも多いようです。

※2022年9月に行った「高校1年生〜3年生のかたを対象にしたアンケート」(275人回答)に寄せられた回答をもとに作成。

進路の種類とそれぞれの特徴

進路を決めるには、まずはどのような進路があるか、どんな選択肢があるかを知ることが重要です。高校卒業後、多くの人は以下に挙げる3つのうちいずれかの進路を選んでいます。
まだ進路に対して具体的に考えられないようなら、保護者のかたは「卒業したらどんなふうに過ごしたい?」などと話しながら、一緒に少しずつ卒業後のイメージを固めていきましょう。

大学・短大

大学では4年間(医・歯・薬学部は6年間)、短大では2年または3年間通学し、専門知識や一般教養を学びます。
大学卒業後、さらに学びたい場合は大学院に進学します。
どの大学・学部に進むか、と悩むかたが非常に多いでしょう。近年では、学部・学科ではない大きな括りで入学して、教養科目・基礎科目を学びながら、専門分野を選択できる制度がある大学も増えています。

専門学校

将来の目標や目指したい職業が明確なら、専門学校に進学して特定分野の知識・技術を身に付けるのも一つです。
学ぶ期間は2〜4年間で、分野によっては資格取得を目的とする課程・コースなどもあります。

就職

高校卒業後にすぐ就職する道を選ぶケースもあります。
採用の条件に大学卒業以上と定めている企業もあるため、希望によって就職先が限られる場合もありますが、「実務に早く就いて経験を積める」「収入が得られる」といった大きなメリットがあります。

以下では、特に大学進学を検討しているかたに向けて、進路・志望大を具体的に検討するためのヒントをお伝えします。

進路を決めるためにできること

将来やりたいことや志望大が決まっていないかたも、高校卒業までには何らかの進路を決めなければなりません。
高1、2のうちから焦る必要はありませんが、決定のためには自分で行動することも大切。
多くの高校生が実践している、進路決定につながりやすいアクションをご紹介します。
お子さまが「やりたいことが見つからない」と迷っているようなら、「こんな方法もあるよ」とアドバイスしてあげてください。また、下記の中からお子さまが考えやすい、行動しやすい方法からスタートしてみるのもよいでしょう。

【やりたいことが見つからない・わからない場合】

自己分析をする

進路検討の基本になるのは、「将来どんなことがしたいのか」「何をしていると楽しいか」をじっくり考えてみることです。
「サッカーとゲームが好きだけど、将来の仕事や大学の学びと結び付かないのでは?」などと悩む高校生も多いかもしれませんが、たとえばゲームならプログラミングやマーケティングなどの学問につながっています。

そのほかのあらゆる興味も、さまざまな学問や職業と結び付けることができます。
自己分析をもとに、通っている高校の先生などに相談してみることで、進路の方向性が明確になる場合も少なくありません。

やりたい職業から逆算して考える

目指す職業があるなら、「その職業に就くにはどんな資格や知識が必要か」→「大学でどんな学問を学べばよいか」と逆算して考えることで進路を絞り込みやすくなります。

社会や未来に関心を持つ

「どんなことに興味があるのかわからない」といった高校生には、新聞やネットニュースを継続的に読むのがおすすめです。
さまざまな社会問題にふれながら、特に興味を感じたトピックについて調べていく中で、学びたい学問が見えてくる可能性も。また、ニュースに登場した人や、解説者の経歴を知ることで、多様な進路を知るきっかけになるかもしれません。

やりたくないことから考える

「学びたい学問が見つからない」「就きたい職業がない」といった場合は、逆にやりたくないことをピックアップしてみるのも一つの方法です。
「やりたくない」も大事にすべき気持ちの一つ。
「それ以外で、どんな学問や職業ならアリかな?」と考えてみることも、進路選択のヒントになります。

■おすすめコンテンツ:職業適性検査!向いている仕事や将来の夢を診断で見つけよう
簡単な質問に答えるだけで「興味・関心」、「秘めた能力」の2つの観点から向いている職業を診断。自分の強みを把握して、将来の夢を考える際の参考にしてみてくださいね。

【大学や将来の夢について具体的なイメージが湧かない場合】

身近な大人や先輩に話を聞く

進路が決まらないのは、「将来のビジョンが見えない」ことも一因。
家族や親戚、社会人の先輩などに「今就いている職業を選んだ理由」などについて話を聞くことで、進路を自分事として考えられるかもしれません。
もちろん保護者のかたも、折にふれて仕事の楽しさなどを話してあげてください。

オープンキャンパスに行く

志望大や学びたい学問が決まっていない高校生こそ、大学のオープンキャンパスへ積極的に参加するのがおすすめです。
少しでも興味のある大学や、とりあえず知っている大学でもOKです。
大学の雰囲気にふれたり、高校生向けの模擬授業などに参加したりして大学の学びについて知っていくうちに、「こんな学部があるんだ」と大学について知識が深まったり、「ここで学びたい!」と思える大学・学部に出合える場合もあります。

パンフレットやWebサイトなどでいくつかの大学について詳しく調べる

高2の2学期くらいまでは、大学で学ぶ学問に関する知識が乏しく進路選択が難しいケースも多々あります。
こんな時は、知っている大学のパンフレットを取り寄せたり、大学のWebサイトを閲覧したりして、どんな学部・学科があるのかをざっくりチェックすることが役立ちます。
いろいろな学問を知る中で興味がわくものに出合えたら、さらに深く調べていくとよいですね。

研究室や大学教授の研究を調べる

自分の興味ある学問が何となく絞り込めているなら、その学問について各大学でどんな研究が行われているかをインターネットで調べてみるのもよい方法です。
「この大学には、この分野を専門に研究している教授がいるんだ」「この大学の研究設備はすごい!」など具体的に知ることが、志望大選びにつながります。

【希望の進路はあるが実力をギャップがある場合】

苦手やギャップを分析して埋める努力をする

高校2年生以降になると、「志望大・学部はあるけれど今の学力では厳しいかも……」と悩むお子さまがぐっと増えます。
この場合におすすめしているのは、「どのくらい学力ギャップがあるか」「どの教科・科目を伸ばせばギャップを埋められるか」を分析することです。
戦略を立てて勉強することで、目指す進路への不安も小さくなるはず。
ただし、高3の秋以降も学力ギャップが大きいと、不安が高まってしまうことも。
この場合は、「この大学・学部なら進学したい」と思える併願大を複数見つけておくと、安心感をもって第1志望大を目指せます。

子どもの進路のために、保護者ができること

進路選択を行うのはお子さまですが、最終決定に向けて保護者のかたにできるサポートもあります。
ここでご紹介するサポート方法以外でも、保護者のかたとして「こんな進路もあるんじゃない?」などと選択肢を提供してあげることも大切。
お子さまが早いうちから話し合いを重ねて、納得できる進路を一緒に見つけられるとよいですね。

情報収集のサポートをする

高校生は部活や行事で忙しく、進路のことは気になっていてもリサーチの時間がとれないことも。
お子さまの希望を聞いたうえで、大学のパンフレットを取り寄せたり、Webサイトをブックマークしたりしておくなどして、お子さまがスムーズに情報収集できるようサポートしてあげるとよいかもしれません。

お子さまの「壁打ち相手」になる

保護者のかたにぜひお願いしたいのが、お子さまの「壁打ち相手」です。
「壁打ち相手」とは、簡単に言えばお子さまの話し相手になること。
身近な人に率直な思いを話すことで、お子さまは進路に対する考えを整理できます。
また、たとえばお子さまが「AIって面白そう」と口にした時に、「AIっていろんな分野で使われているよね。将来、AIでどんなことができたらいいかな?」など質問してあげてもよいでしょう。
お子さまは進路に対して思考を広げ、深めていけるはずです。

【体験談】みんなはどんなことに悩んだ? どうサポートした?

ここからは、お子さまの進路決定をサポートした先輩保護者の体験談をご紹介します。
「どこが悩みどころだったのか?」「どんなふうに協力したのか」を参考になさってみてください。

(体験談)

いろいろな大学・学部について一緒に調べながら、将来の希望などを話し合いました。親としての希望も伝えたうえで、最終的には子ども本人に志望校を決定させました。おかげで大学でも意欲的に学んでいるようです。ただ、調べ始めるのが高3と少し遅くて受験勉強の時間が削られてしまったので、高2のうちにリサーチを進めておけばよかったかな、と思います。
(立命館大・理工学部合格者の保護者)

子どもがどのような進路に進みたいのかを私も理解したかったので、とにかく話をしっかりと聞くようにしました。話し相手がいることで、子どもも自分の思いを整理しやすかったようです。ただ、高校生活が忙しくオープンキャンパスなどに行きそびれることが多かったので、情報収集を代わってあげればよかったです。
(上智大・総合人間科学部合格者の保護者)

高校入学直後から「志望大どうする?」「推薦も狙ってみる?」などと話し合い、部活や定期テストで忙しい娘に代わって情報収集をがんばりました。面接試験の対策なども早めにスタートさせ、無事に合格できました。
(埼玉大・教養学部合格者の保護者)

子どもは経済学部志望だったので、「経済学部を設置している大学はたくさんあるし、どの大学を志望大にすれば……」と迷っていました。そこで、国公立大・私立大問わず経済学部のある大学を幅広くピックアップし、「どんな内容が学べるか」をインターネットでできる限り調べました。
(和歌山大・経済学部合格者の保護者)

家族で真剣に進路と向き合ったのは、子どもの部活引退直後から。親子3人で「やりたいことを学ぶにはどの大学・学部?」と話し合ったり、バタバタと志望大を探したりと忙しかったです。よい思い出になりましたが……。
(北見工業大・工学部合格者の保護者)

※2023年4月〜5月に行った「保護者のかた向けアンケート」(3,580人回答)に寄せられた体験談をもとに作成。

まとめ & 実践 TIPS

高校生のお子さまは、大学や社会の情報をまだあまり持っていないため、進路に対して視野が狭くなりがちかもしれません。
こんな時、お子さまの適性を考えながらさまざまな可能性を示してあげるのは、保護者のかただからこそできることではないでしょうか。
一緒に楽しく将来をイメージし、進路決定を行っていけるよう願っています。