2024年1月13日、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)英語が実施されました。
リーディングでは、昨年に引き続き全大問が読解問題で出題され、実際に英語を用いるさまざまな媒体・シチュエーションの英文を読み取る力が求められました。

2024年度の共通テスト『英語』の分析と、その分析を踏まえた次年度以降の対策についてお伝えします。

この記事のポイント

  • 【リーディング】文章量は増加したものの、難度は昨年並み。語数増加への対応力が求められた。
  • 【リスニング】昨年よりやや易化。ネイティブ以外の話者の発話での出題も
  • 次年度以降に向けて、どのような対策が必要か?

【リーディング】文章量は増加したものの、難度は昨年並み。語数増加への対応力が求められた。

まず、リーディングについてお伝えします。
リーディングについて、特筆すべき内容は主に以下の3点になります。

  • ■昨年度に引き続き、全大問が読解形式の出題だった
  • ■素材文語数は約4,900語で、昨年度から約400語増加
  • ■チラシ、ブログ、アンケート、プレゼンテーション資料など、さまざまな媒体の読み取りが求められた

■昨年度に引き続き、全大問が読解形式の出題だった

昨年度に引き続き、全6大問すべてで読解問題が出題されました。
全大問での読解問題出題は、共通テスト初年度(2021年度)から4年連続となります。

リード文・問題文・選択肢のすべてが英語で記載されているため、本文だけでなく、リード文から場面設定を正確に読み取る英語力も求められました。

■素材文語数は昨年度から約400語増加

大問数6、解答数49は昨年度から変更はありませんでしたが、素材文語数が約4,900語で、昨年度から約400語増加しました。

語数は全体的に増加していましたが、中でも第5問の文章量に驚いた受験生が多かったのではないでしょうか。

過年度実施の共通テスト第5問と比較して、1ページ分素材文(約300語)の増加がありました。加えて、出来事を時系列に並び替える問題や、登場人物3名の関係性を丁寧に読み取る必要がある問題が出題され、正確に情報を整理する力が求められました。

特に、第5問・問3は、これまでの共通テストの基本的な傾向であった「素材文から読み取れる内容の真偽判定」ではなく、「素材文に直接的に書かれていない登場人物の心理を、本文をもとに読み取る」問題でした。
私立大学の入試や、国公立大学2次試験で出題されるような、深い読解力を問う問題であったため、事実ベースの真偽を判定する問題への対策に注力していた受験生ほど驚かされたのではないでしょうか。

■チラシ、ブログ、アンケート、プレゼンテーション資料など、さまざまな媒体の読み取りが求められた

リーディングの各大問では、以下のような媒体・題材の読み取りが出題されました。

第3問Aでは、「写真撮影ラリー」に関するブログの読み取りが出題されました。
素材文を読んだうえで、ブログに掲載されている写真を類推する問題や、ブログに投稿する適切なコメントを選ぶ問題などが出題され、インターネット上のコミュニケーションを想定した出題形式が特徴的でした。

第4問では、「快適な教室環境をつくること」をテーマに、記事とアンケート結果を読み、ディスカッションのためのハンドアウトを作成する問題が出題されました。
記事とアンケート結果の両方を精査して、空所に適切な語句を補充したり、削除すべき事項を検討したりと、実際の生活に近い場面設定が特徴的でした。

全体をとおして、日常的なコミュニケーションや実際に英語を使用する場面が出題され、実践的な英語力が求められました。

【リスニング】昨年よりやや易化。ネイティブ以外の話者の発話での出題も

次に、リスニングについてお伝えします。

  • ■大問数・解答数・問題量ともに、昨年度から変更なし
  • ■昨年度に引き続き、ネイティブ以外の発話での出題あり

昨年度同様、第1問・第2問は音声が流れる回数が2回、第3問〜第6問は音声が流れる回数が1回の問題が出題されました。

大問数や解答数に変化はありませんでしたが、過年度に出題実績のある、イラストを並び替える問題が出題されました。
音声情報の聞き取りとともに、記載された図表やワークシートの読み取りが必要な問題が多く出題されました。

第5問では、ワークシートを完成させる問題が出題されました。
問27〜問31は聞き取った英文の内容から、ワークシートの空欄にあてはまるものを選ぶ問題でした。また問28〜問31は6つの選択肢を複数回使用可能だったため、英文の情報をきちんと聞き取れていないと、難しい問題でした。

■昨年度に引き続き、ネイティブ以外の発話での出題あり

昨年度に引き続き、アメリカ英語・イギリス英語の話者による発話が確認されたほか、ネイティブ以外の話者(英語を母語としない話者)による発話での出題がありました。

第6問Bでは、昨年度同様4人の話者による会話文の聞き取り問題が出題されました。

4人の若者が、「新年の誓い」について語り合う場面が題材でした。
ネイティブ以外の話者を含む4人それぞれの主張を聞き取り、ある人物の考えの根拠となる図表を選ぶ問題や、それぞれの最終的な意見をとらえる問題が出題されました。4人の話者の発話の違いに着目することが、それぞれの人物を認識するのに有用でした。

次年度以降も引き続き、アメリカ英語・イギリス英語以外の話者による発話や、非ネイティブ話者の発話による出題が予想されます。

次年度以降に向けて、どのような対策が必要か?

今年の共通テストを経て、次年度以降にどのような対策が必要かを、リーディング・リスニングそれぞれにまとめると、以下のようになります。

  • ■リーディング:語数は増加傾向。速読力・文章量への対応力がより求められる
  • ■リスニング:要点を整理する力と、他の表現への言い換えに気付く柔軟な思考を養う必要あり

リーディングは、昨年度から大幅に語数が増えました。
過年度から比較しても、素材英文の語数が増加しているため、今後も同程度〜やや増の語数での出題が予測されます。

本番で、「想定していたより語数が少なかった」場合は対応可能ですが、「想定よりも語数が多かった」場合には対応が難しいため、日頃から長めの英文への対応力を養っておくことが重要です。

また、単独での出題はありませんが、文意を正しく理解するために基本的な語彙(ごい)力・文法力を身に付ける必要があります。
語彙力・文法力という英文読解における基礎を鍛えたうえで、複数の資料を統合して読み取る問題の演習を多く取り入れ、情報を迅速に処理する力を養成することが大切です。

リスニングは、1回読みのリスニング問題が多く出題されます。
そのため、場面の詳細な設定や与えられた資料・図表を聞き取った情報と併せてすばやく整理し、解答する力が必要です。

解答に必要な情報をスムーズに把握できるよう、さまざまな1回読みのリスニング問題に取り組みましょう。
リーディングと同様に、複数の情報を統合して答えを導き出すというプロセスが求められるため、リーディングの演習もリスニングの対策につながります。

また、リスニングは聞き取った情報が他の表現に言い換えられて出題されることが多いため、言い換え表現をしっかり聞き取れるように、日頃からさまざまな英語表現に触れる演習も有効です。

まとめ & 実践 TIPS

大学入学共通テストの英語は、リーディング・リスニングともに実践的なコミュニケーションの場面が想定された問題が出題されます。そのため、英語本来の《言語としての機能》を意識した出題が、今後も続くことが想定されます。日々のコミュニケーションの中でも、話し手の言いたいことや文章の要点をすばやくつかむことを意識しておきましょう。

株式会社プランディット 英語課 堀内(ほりうち)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの英語教材の編集を担当。