拙著を読んでくださった方から、思わず激しくうなずいてしまうメールを頂戴しました。この方は、子どもたちに英語を教えるお仕事をされているのですが、英語力がなかなか伸びないお子さんに対して「どうしたら良いのだろう?」と悩んでいたそうです。英語を教える前にあることをしたら、子どもたちの自己肯定感も上がり、英語力も伸びたというのです。ご本人のご快諾をいただきましたので、メールの内容を抜粋してご紹介します。

■まず「自分のことを言う」トレーニングから

「子どもたちに英語を教える中で、4年程前から、『英語だけを教えていてそれでよいのか?英語を教えるだけが子どもたちの成長につながるのか?』などの疑問を持つようになりました。ある日、私は生徒さんに対して実験を始めました。

まず、コミュニケーション力をつけること。それも母国語で。そもそも母国語である日本語で、人とのコミュニケーションがとれない子に、言語である英語を習得すること自体、どうなのか?と感じたのです。無理があるのでは?と。
自分の気持ちを言えない。何を思っているのか自分でもわからない。どこがわからないのかもわからない。そんな子どもたちを多く見てきました。あれこれ工夫しながら、私なりのアプローチをしていく中で、子どもたちのコミュニケーション力、表現力、自己肯定感が上がってきたのです。同時に、英語力が向上してきたのです。英語を教えているわけではないのに!です。これには私もびっくりしました。

私は味を占めました。これ、役に立つぞ!と。本格的にこのレッスンを始めようと一念発起して1年経ちました。保護者の方にも需要が出てきました」

■「自己探求」はすべての学びのベース

深く納得できるお話です。この先生がなさっているコミュニケーションのトレーニングは、単にスキルを教えるものではなく、「自己探求」のアプローチなのだと感じます。以前、コーチング先進国であるオランダの教育現場に視察に行った時、小中学校の先生も、大学の先生も、判で押したように「ここは自分のことを学ぶ学校です」とおっしゃっていたのが非常に印象的でした。外側に答えを求めにいくのではなく、自分の内側に答えを探しにいく教育なのです。

「自分は何が好きで、何が得意で、どんな時に幸せを感じ、どんな方向に向かいたいと思っているのか?」そんなことをじっくり考えて言語化する体験が、日常、どれくらいあるでしょうか。受験や就職活動の面接対策で初めて考えたという子どもも多いのではないでしょうか。

日本の子どもたちの多くは、外から知識や情報を与えられること(ティーチング)が主で、自分の内側に答えを探しにいき、自分の考えや気持ちを自分の言葉で表現するトレーニングをあまり受けていないように感じます。「自分はどんな人なのか?」といった根本的なことを自分で考えるのではなく、他者からの評価によって自覚します。ですから、他者からどう見られているのかを過剰に気にします。結果、ますます自分の考えを話そうとしなくなります。自己肯定感もコミュニケーション力も高まりません。

自分を知り、自分が目指す方向を明確にした上で、「だから英語力が必要だ!」となれば、学習意欲も成果も格段に変わってくるはずです。これは英語に限ったことではないでしょう。まず、自己探求があってはじめて勉強へのやる気も湧いてくるのです。

自己探求のアプローチ

  • ・自分を知り、自分が目指す方向を明確にする
  • ・自己探求があってはじめて、必要なことへのやる気が湧いてくる

まとめ & 実践 TIPS

自己探求というのは、そんなに特殊なことではありません。ご家庭でも、お子さんが自分のことを考えて話す時間をたくさん作ってあげることをお勧めします。何が好きで、どんなことが楽しくて、どんな時に気持ちが前向きになるのか?など、どんなことでも「自分はどうなのか?」について自分で考え言語化する。このトレーニングが「学ぶ力」の向上につながっていくのだと、いただいたメールからあらためて確信したしだいです。