素直で、言われたとおりに行動する小学校低学年の子どもたち。でも、2、3年生ごろから徐々に口ごたえをするようになったり、言うとおりに動かなくなってきたりして、おうちのかたのイライラのもとにもなっているようです。それって、どうして? 親はどう対応したらいい? 発達心理学が専門の渡辺弥生先生(法政大学文学部心理学科教授)に伺いました。

この記事のポイント

  • 口ごたえは成長の証!?
  • 「反抗」と思うか「自立」と思うかで大違い
  • 自立をうながすには子どもを尊重してこそ

口ごたえは成長の証!?

親に反抗するのは、小学校高学年になってからの話だと思っていたのに……。かわいかった我が子が口ごたえをするようになると、「もう反抗期!?」なんて驚いてしまいますよね。へ理屈やあげ足とりに、カチンときてしまう時もあるでしょう。でもそれ、お子さんが急に聞き分けがなくなったというわけではありません。大人に向けて「自立」していくための、大切なステップの一つなのです。

どういうことかというと、低学年くらいまでの子どもは物事を見たままに理解し、自分のことは「女の子」「男の子」「茶色いランドセルを持っている」などと見た目でとらえがちです。そのため、自分の得手不得手もまだよくわからず、「自分は何でもできる」という万能感でいっぱい。「あなたならできる」といったおうちのかたの言葉にも、素直に反応するのが特徴です。
それが3、4年生ごろになると物事を客観的に見る力がついてきて、「自分はわりと人気者」「すぐに友達と仲良くなれる」などと、他人と自分を比べて≪自分≫を意識するように。また「自分でやれそう」という感覚も芽生えるため、おうちのかたの手を借りずに何かをやってみようとしたり、逆に自分の苦手なこともわかってきて劣等感を持ち始め、苦手なことを嫌がったりするようになるわけです。

「反抗」と思うか「自立」と思うかで大違い

おうちのかたにとっては、それが、反抗しているようにも見えるわけです……。それもこれも、自立性が芽生えてきた証拠。「自立って自分で何でもできるようになることじゃないの?」と思うかもしれませんが、自分を客観視できるようになってこそ、自分でやれそうなことがわかるし、行動をコントロールしてやれるようになるものです。
とはいえ、まだまだ小学生。教わらないとできないことも多いし、自分のできないところに気付いて劣等感を抱きやすい時期でもあります。だからこそ「反抗」ではなく「自立」ととらえてどんな意見を持っているかよく聞き、自分で考え、行動できるように、サポートしていくことが「自立」をより後押しすることにもなるのです。

自立をうながすには子どもを尊重してこそ

そのサポートについては、上司と部下の関係をイメージしてみると、わかりやすいかもしれません。最初は上司の言葉に素直に耳を傾けていた部下が、だんだん自分の意見を言うようになったとして……。それを「生意気」ととらえていちいちイライラしていたら、部下は成長できないばかりか、そのうち意見を言わなくなりますよね。
一方、「意見を言えるようになって成長したな」と喜んで発言を受け入れたり、よりよい方法をアドバイスしたりすれば、部下はどんどん成長して、自分なりの意見を持ったり、視野を広げたりしていくはずです。
子どもも同じで、「反抗」ととらえてイライラしていたら逆効果。「やれるかも」が「やれた!」になるようにサポートしたり、より客観的な見方ができるように気付いていないことを伝えたりしていくことで、いよいよ思春期を迎えて≪自分≫というものをより深く理解し、自立していくための下地づくりになるのです。

まとめ & 実践 TIPS

口ごたえや言い訳などが返ってくると、イラッとしてしまうこともあるかもしれませんが……。おうちのかたが思っているような答えが返ってこなかったり、自分で何かに挑戦しようとしたりすることは、成長のあらわれであり、じつに喜ばしいことです。ただし、成長のスピードは子どもによってそれぞれ。「〇年生ごろはこうなるから、こうしたほうがいい」といったことにお子さんをあてはめようとせず、ご自身が小学生だった時のことを思い出したり、お子さんの変化や反応を楽しんだりしながら、挑戦を後押ししたり、幅広い視野で物事を考えられるようにフォローしたりしてあげてください。なお、そのサポートのコツについては、後編で詳しくお伝えします。