夏休みも真っ盛り。遊びの一方で、宿題や夏季講習などに取り組んでいるお子さんも多いことでしょう。ただ、変化の激しい社会に出ていく準備をするためには、子ども時代の勉強の在り方も改めていく必要があります。7月に文部科学省内で開かれた「OECD/Japanセミナー」から、何が求められているのかを考えてみましょう。

暗記依存は抜け出せたけれど…アクティブ・ラーニングはこれから

先進35か国が加盟するOECD(経済協力開発機構)は、代表的な国際学力調査PISA(ピザ=生徒の学習到達度調査)の実施(2000<平成12>年より3年ごと)でも知られています。今後も社会が発展を続けていくためには、21世紀型の新しい学びが必要だと考えてのことです。文科省は、そんなOECDの教育事業を普及させるため1992(平成4)年から、共催でJapanセミナーを開催しています。2015(平成27)年のPISAでは科学的リテラシーを重点的に調べたことから、今回のセミナーのテーマも「PISA2015から見えるこれからの学び−科学的リテラシーと主体的・対話的で深い学び」としました。

「主体的・対話的で深い学び」とは、アクティブ・ラーニング(AL)によってもたらされる学びのことであり、2018(平成30)年度から移行措置に入る次期学習指導要領(全面実施は小学校が20<同32>年度から、中学校が21<同33>年度から、高校が22<同34>年度入学生から)で打ち出されました。テーマ名に見られるとおり、これからの世界で必要とされる学びと、次期指導要領で目指す学びは「同期している」(鈴木寛・文部科学大臣補佐官)わけです。

ミスターPISAとも呼ばれるOECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長は、PISAの始まった2000(平成12)年以降、日本の教育が知識の暗記に依存する在り方(暗記戦略)から徐々に抜け出し、「学び方を学ぶ」こと(コントロール戦略)に力を入れてきたことを高く評価しました。それにより、社会がどう変化しようとも、一生学び続け、対応ができるからです。一方で、教科の枠を越えて知識を結び付けながらアクティブに学ぶこと(エラボレーション戦略)は、まだ苦手だと指摘しました。
先頃実施方針などが決まった高大接続改革も、高校教育でALを通じて育成した幅広い資質・能力(コンピテンシー)を入学者選抜でもバランスよく評価して、大学教育で更に伸ばすことを目指しています。これも、教育改革の世界的な潮流と「同期」していると言えます。

学習を「楽しむ」ことが重要

一方でシュライヒャー局長は、科学的リテラシーを例に、まだまだ日本の子どもの学習に対する動機付けに課題があることを指摘しました。科学的リテラシーを上げるには「科学者のように考える」ことが重要です。しかし日本では、PISAの成績は高いのに、科学の知識を生かした仕事に就きたいという割合は、むしろ下位に位置しています。

ただし、科学を楽しんで学習している子どもは、楽しんでいない子ども以上に、科学の知識を生かした仕事に就きたいと考える割合が高くなっています。しかもPISAの成績が上がるほど、その差は大きく開きます。

普段はどうしてもテスト対策が気になってしまいますが、夏休みはそんなことにとらわれずに勉強ができる時期です。自由研究をはじめ、思い切り勉強の楽しさを味わってほしいものです。

※OECD(文科省ホームページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/oecd/04090301.htm

※中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm

(筆者:渡辺敦司)