中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)では現在、新しい時代の小中高校などの教育の在り方を審議しています。1月23日に開かれる中教審の総会では、「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」が約半年にわたって検討してきた成果が「論点とりまとめ」として報告される予定です。この中には、「デジタル教科書の本格導入」が明記される予定です。小学校は2024年度から、中学校は25年度からというスケジュールも示される予定です。デジタル教科書は19年度から既に制度化されていますが、普及はなかなか進んでいません。本格導入が明記された背景には、何があるのでしょうか。

2019年度から制度化されたものの

デジタル教科書は、かつて紙の教科書の補助教材として位置付けられていました。一方、社会全体でICT(情報通信技術)の活用が進むとともに、学校でも「主体的・対話的で深い学び」が求められる中、子どもの学びを質の面でも量の面でも向上させてくれるものとして、デジタル教科書への期待が高まりました。そこで法改正により、デジタル教科書も正式な教科書として使用できることにしました。ただし、紙の教科書と違って無償で配られる対象とはならず、使用する場合も原則として各教科の授業時間の半数未満に抑えるなどの制約があります。

デジタル教科書を導入するには、教室に1人1台の情報端末が整備されている必要があります。しかし公立学校に関して、教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数が5.4人(2019年3月現在)にとどまっている状況で、しかも自治体間の格差も大きく開いたままです。とてもデジタル教科書を一気に普及させられる状況にはありませんでした。

ハードの整備に乗じてソフトも一体で

そんな雰囲気を一変させたのが、2019年度補正予算です。この中で、23年度までに義務教育段階(小中学校相当)で1人1台環境を整備することが打ち出されました。

中教審の検討課題には、ICT環境や先端技術の活用も挙げられていました。論点とりまとめでは補正予算を受けて、ハードとソフトを一体で整備することを提言します。ソフトの中でも重要になるのが、デジタル教科書というわけです。

2020年度は、小学校で新しい学習指導要領が全面実施となり、教科書も一新されます。教科書は4年サイクルで改訂されるため、新指導要領の下での第2サイクルは24年度ということになります。計画では、その前年度までに1人1台環境が整備されているはずです。それに合わせて、デジタル教科書も本格導入しよう、というわけです。中学校は小学校から1年遅れで21年度から新指導要領の全面実施となりますので、教科書の第2サイクルである25年度からの本格導入となります。

スケジュールでは、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で2022年度に行われる中学校英語調査についても、「話すこと」調査をコンピューター活用型テスト(CBT)方式で実施することを検討するとしています。

デジタル時代の読解力は、経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査」(PISA)でも課題が指摘されたところです。新しい時代の読解力向上のためにも、デジタル教科書の活用が期待されます。

(筆者:渡辺敦司)

※中央教育審議会 初等中等教育分科会(2019年12月13日)配布資料
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/2019/10/1421380_00001.htm

※デジタル教科書(文部科学省ホームページ)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/digital/1418610.htm