文部科学省は、2年ごとに実施している「子供の学習費調査」の2018年度結果を公表しました。その中に、気になる結果があります。通う学校や家庭の収入によって、大きな開きがあることです。

総額は高校で2.1倍の公私間格差

授業料などを含め、保護者が1年間に支出した学習費の総額は▽幼稚園=公立22万3,647円(2016年度の前回調査比4.4%減)、私立52万7,916円(同9.4%増)▽小学校=公立32万1,281円(同0.3%減)、私立 159万8,691円(同4.6%増)▽中学校=公立48万8,397円(同2.1%増)、私立140万6,433円(同6.0%増)▽高校=公立45万7,380円(同1.4%増)、私立96万9,911円(同6.8%減)……となっています。

私立の学校に通う場合、公立に比べると、幼稚園では2.4倍、小学校では5.0倍、中学校では2.9倍、高校では2.1倍になっています。文科省によると近年、公立の学校では横ばいで推移しているものの、私立は幼稚園と小学校、中学校で増加する傾向にあります。

私立高校で減少しているのは、授業料や補助学習費(自宅学習や塾・家庭教師など)が減少したことの影響です。とりわけ授業料は、前回の27万1,835円から、今回は23万26円と、4万円以上も減っています。

これには、所得による授業料の実質無償化措置(高等学校等就学支援金制度)も影響しています。年収910万円未満の世帯を対象に、年収額に応じて4段階の上限額(29万7,000円、23万7,600円、17万8,200円、11万8,800円)が、学校を通して支給されるものです。なお、国の2020年度予算案では、年収590万円未満の世帯について、いずれも私立高校の平均授業料の水準まで一気に引き上げられる予定です(年収590万円以上910万円以下の世帯は11万8,800円で据え置き)。

学力を支える「非認知能力」のためにも

お金がかかるのは、授業料ばかりではありません。私立高校でも「学校納付金等」が21万5,999円と、授業料並みにかかっており、しかも前回に比べ1万円余りしか下がっていません。

もっと気になるのは、塾や家庭学習、習い事、スポーツ・レクリエーションなどを合わせた「学校外活動費」です。たとえば小学6年生では、公立の24万2,434円に比べて、私立は86万871円と、3.6倍にもなっています。これが中学校になると、3年生で各40万8,187円、38万6,042円と、むしろ私立のほうが低いようです。

学校外教育費を世帯の年間収入別に見ると、公立に限っても、400万円未満の世帯では小学校で約12万8,000円、中学校で約20万7,000円ですが、年収が上がるにつれて上昇し、1,200万円以上の世帯ではそれぞれ約43万3,000円、約50万6,000円と、それぞれ3.4倍、2.4倍の差があります。私立でも、小学校は約41万円から79万円まで、1.9倍の差です。

学校内外のさまざまな体験活動は、学力だけでなく、学力を支える「非認知能力(スキル)」にも影響します。家庭の収入格差が子どもの学力格差につながらないよう、学校教育の充実はもとより、社会総ぐるみで子どもの学びを支える必要があります。家庭の経済的負担をさらに軽減することも、忘れてはなりません。

(筆者:渡辺敦司)

※2018年度「子供の学習費調査」結果の概要
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html

※「私立高等学校授業料の実質無償化」について(2020年4月から)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1418201.htm