昨年、ニューヨークタイムズが「2019年に行くべき52カ所」を発表し、日本で唯一、「瀬戸内海の島々」が選ばれました。瀬戸内が選ばれた理由、その瀬戸内で最初にアート活動が始まり、今や「アートの楽園」としても注目される直島(なおしま)とは、どんな島なのでしょうか。

草間彌生"南瓜"

この記事のポイント

  • 日本で唯一、「瀬戸内海の島々」がニューヨークタイムズに選ばれた理由は?
  • 直島ってどんな島?
  • 子どもたちが集まるキャンプ場から始まった
  • 「ベネッセアートサイト直島」とは?

日本で唯一、「瀬戸内海の島々」がニューヨークタイムズに選ばれた理由は?

ニューヨークタイムズが「2019年に行くべき52カ所」を発表し、日本で唯一、「瀬戸内海の島々」が選ばれました。「日本古来の瀬戸内地域で、大規模なアートフェア『瀬戸内国際芸術祭2019』を開催。自然と芸術の調和を体験できるアートの島々がある」と高く評価されています。ほかにも、「広島平和記念資料館」のリニューアルオープン、瀬戸内に浮かぶ旅館「ガンツウ」、水陸両用機をつかった遊覧飛行やチャーター便「せとうちSEAPLANES」などが紹介されています。
評価ポイントとして最初に挙げられている「第4回 瀬戸内国際芸術祭2019」では、国内外から118万人が瀬戸内海を訪れました。この芸術祭開催の契機となった「直島」では、どのような活動が行われているのでしょうか。

直島ってどんな島?

直島は、香川県高松市の北約13km岡山県玉野市の南約3kmに位置し、大小27の島々からなる直島町の中心にある面積約8k㎡の島です。人口は約3100人で、地場産業としてハマチや海苔の養殖漁業が行われているほか、島の北部では大正時代から銅をはじめとする貴金属の製錬を行っており、島の経済を支えてきました。島の中心部は教育機関のエリアや歴史ある集落エリア、南部は日本で最初に国立公園に指定された瀬戸内海国立公園の自然景観を活かした文化エリアとなっています。

1989年にオープンした「直島国際キャンプ場」の様子

子どもたちが集まるキャンプ場から始まった

「ベネッセアートサイト直島」は、1985年、「瀬戸内海の島に世界中の子どもたちが集える場を作りたい」との思いを抱いていた福武書店(当時)の創業社長福武哲彦と、直島の南側一体を清潔で教育的な文化エリアとして開発したいとの夢を描いていた当時の直島町長三宅親連とが出会い、直島開発の約束が交わされたところから始まりました。最初にオープンしたのは、「直島国際キャンプ場」(写真上部)です。このキャンプ場の施設の監修は安藤忠雄氏が担当し、敷地内には直島で初めて現代アート「かえると猫(カレル・アペル)」(写真下部)が常設されました。安藤忠雄氏の設計による美術施設や、直島の豊かな自然の中に設置されるアート作品は、その後広く展開していくこととなります。「直島アート便り」では、ベネッセアートサイト直島の30年以上にわたる活動や、アートを通じた学びのタネについてご紹介していく予定です。

1990年頃のカレル・アペル "かえると猫"

2020年、同じ芝生エリア内で移設されたカレル・アペル "かえると猫"

1990年頃、進研ゼミ小学講座会員向けサマーキャンプの様子

「ベネッセアートサイト直島」とは?

ベネッセアートサイト直島は、瀬戸内海の島々でアートプロジェクトを展開している活動の総称です。アートを鑑賞していただくことだけが目的ではなく、日常の喧騒から離れた島という環境で普段とは違う時間の流れの中でアートと向き合い、自分にとっての「ベネッセ=よく生きる」とは何かを考えていただく場になることを目指しています。そのために、自由な解釈を導く現代アートを中心に、自然・建築・歴史・文化・人々の営みなど周りの環境と豊かな関係性を感じられる作品が選ばれており、アーティストがそれぞれの場に合わせて構想し滞在制作したものも多くあります。アート作品は様々な場所に点在しており、歩くこと、眠ること、考えること、すべてが鑑賞体験に繋がっています。

瀬戸内海の豊かな自然の中で、アート鑑賞を通じて普段気づいていないことに目を向け、日ごろゆっくり考えられないことに思いを巡らせてみるのはいかがでしょうか。季節、時間、天候、その時の自分の状況によって、作品と鑑賞者との間に生まれる対話は様々に変化します。その時、その場所でしかできない体験をぜひ味わってみてください。

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