この記事のポイント

  • Q 子どもの学習費は、いくらくらいにとどめるべき?
  • Q 子どもの習い事、いくらくらいで考えるとよい?
  • Q 子どもを大学まで進学させる場合、あらかじめ奨学金を借りることを想定したほうがよいでしょうか? 新しい奨学金制度もあるようですから、教育費はためる必要はないですか?
  • Q 子どもが医療系に進学したいといっています。小さいときから、しっかり通塾させて勉強しておくべきでしょうか。
  • Q 小学校から英語やプログラミング教育が必須になりました。親が教えられないので、習い事としてさせるつもりです。どんなものをいくらくらいでするとよいでしょうか。

Q 子どもの学習費は、いくらくらいにとどめるべき?

A 中学校では10%前後だが、子どもが大きくなると年収によっては負担割合の平均が30%に上がるケースも。それまでに貯蓄して家計の負担割合を下げることを目指したほうがよい。

世帯の年間収入別、学校種別学習費総額の表を見てください。公立、私立問わず、年間収入が増加するにつれて学習費総額が多くなる傾向にあります。
一概に何%が安全とは言いませんが、中学校の補助学習費で見てみると、年収400万円未満の世帯では公立で38.8万円、私立で110.3万円、800万〜999万円の世帯年収では公立54.1万円、私立134.8万円です。次に高等学校で世帯年収が400万円未満で公立の場合、35.5万円、私立で70万円、800万〜999万円の世帯で公立では51.5万円、私立であれば、96.4万円と、収入が少ない世帯の負担割合が多いことがわかります。

ここから、家計の負担割合は10%前後といえるでしょうが、子どもが大きくなると、負担割合はずっと上がります。日本政策金融公庫が高校生以上の子どもがいる家庭の家計を調査した結果を見てください。年収400万円未満の在学費用の負担は、31.7%、一方800万円以上の年収の世帯の在学費用の負担は、12.6%となっています。

2020年の調査は19年よりも低下した傾向にありますが、家計の30%の負担は重いものです。「とどめるべき」というより、それまでに貯蓄して来るべき高等教育に備えることで、家計の負担割合を下げることを目指したほうがよいかもしれません。

文部科学省 表10-1

日本政策金融公庫 図-8

Q 子どもの習い事、いくらくらいで考えるとよい?

A まずは貯蓄を考えてから習い事にかける費用を算出する。

世帯の年収と習い事の考え方を見るために、中学校と高等学校の補助学習費と学校外活動費を抜粋してみましょう(上記表10-1)。
この調査では、「補助学習費」と「学校外活動費」に分けて表示されていますが、小学校までは学校外活動費が多かったものの、中学校以降は補助学習費のほうが多くなっています。
すなわち、勉強のほうに習い事がシフトするのですが、ここで考えるべきは、公立でも私立でも結局は学費以外がかかり、年間30万円程度はかかっているということです。
教育費が家計の何%を占めているかということではなく、先に「子どもが18歳までにいくらためたいから、月々支出できる金額はいくら」と逆算して考えるようにしましょう。まずは貯蓄を考えてから習い事にかける費用を算出することが大切です。

Q 子どもを大学まで進学させる場合、あらかじめ奨学金を借りることを想定したほうがよいでしょうか? 新しい奨学金制度もあるようですから、教育費はためる必要はないですか?

A 「借りる」というのは最後の手段に。「長期間かけて地道にコツコツ貯蓄する」ことを考えて。

子どもを大学まで進学させる場合、どうしても奨学金を借りざるを得ない事態も出てくるかもしれません。ただ、奨学金は子どもが進学後に受給できるよう「予約」するという方法ですから、高校生の時の塾代や受験料、入学金などには間に合いません。

子どもが小さいうちからできること、たとえば、児童手当15,000円(3歳以上10,000円)のうち、5000円を別に積み立てておくとか、子どもたちが親戚から受け取ったお年玉を使わないでおいておくとか、貯蓄できる範囲の金額を確保するというのはとても大事なことです。教育ローンを借りるときには、親が契約者になります。親が複数のローンを組んでいたり、返済状況が悪かったりすれば、低金利の国の教育ローンでなく、民間の高い金利の教育ローンしか借りられない可能性もあります。

「借りる」というのは最後の手段にして、「長期間かけて地道にコツコツ貯蓄する」ことを考えましょう。時間を味方につけて、教育費を準備しておくとよいでしょう。

Q 子どもが医療系に進学したいといっています。小さいときから、しっかり通塾させて勉強しておくべきでしょうか。

A まずは、大学進学時までに貯蓄できる金額を計画しつつ、支出を抑えましょう。

医療薬学系は、国公立ならともかく、私立大学に進学した場合、高額な学費を払わなければなりません。しかも6年間通学して、国家試験に合格しなければなりません。習い事などを小さい頃からさせてあげるのもよいですが、習い事をたくさんさせ過ぎて、大学進学をすべて教育ローンや奨学金でまかなうと、返済するのが大変です。
まずは、大学進学時までに貯蓄できる金額を計画しつつ、支出を抑えましょう。

Q 小学校から英語やプログラミング教育が必須になりました。親が教えられないので、習い事としてさせるつもりです。どんなものをいくらくらいでするとよいでしょうか。

A 無理をしてまで、「必要だから」と英語やプログラミング対策を考える必要はないでしょう。適性を見極めつつ、費用対効果を考えていきましょう。

親が教えられない習い事を習うのは仕方がないことでしょう。
ただ、教育費はあくまでも学費の準備をベースに考えつつ、大学受験時期に間に合うよう貯蓄する、ということが原則です。無理をしてまで、「必要だから」と英語やプログラミング対策を考える必要はないということです。
今は、ネットで動画が公開されていたり、現役の大学生が教えてくれるサイトがあったりして、勉強したいという気持ちがあれば、どんなかたちであれ、実現しやすくなっています。適性を見極めつつ、費用対効果を考えながら、子どもに習い事をさせていくことを考えましょう。

プロフィール

當舎 緑

當舎 緑

社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー。資格取得をはじめ、教育・育児、マネーなど一般消費者向けのセミナー、執筆活動を行う。子どもにかけるお金を考える会(http://childmoney.grupo.jp/)のメンバー、一般社団法人かながわFP生活相談センター(https://kanagawafpsoudan.jimdo.com/)の理事でもある。金融機関での年金相談はじめ、区役所、県民相談の窓口での行政相談、病院でのがん患者就労支援相談の窓口で一般向けの相談にも応じている。家庭では3児の母でもある。