子どもを勉強好きにするために、皆さんがやっていることはありますか? ちょっとした声がけや、学習方法を工夫することで、子どものやる気を引き出してあげることも可能です。

教育者としてたくさんの生徒に接してきたことで得られたノウハウから編み出した、子どものやる気を引き出す勉強法を、『東大式ふせん勉強法』の著者である清水章弘さんに伺いました。小学校低学年から実践できる、ふせんを使って楽しく学ぶ6つのアプローチを紹介します。

この記事のポイント

  • POINT1 ゲーム感覚で楽しく暗記できる「暗記ドア」の作り方
  • POINT2 ふせんを使った辞書引き学習で、子どもの言葉が増える
  • POINT3 読解力が高まる、ふせんを使った書き込みメモのテクニック
  • POINT4 4枚のふせんを使った記述分解で、子どもの作文力がのびる
  • POINT5 おうち英語図鑑で、楽しみながら単語をインプットする
  • POINT6 ふせんを活用して、ケアレスミスの傾向と対策を練る

・POINT1 ゲーム感覚で楽しく暗記できる「暗記ドア」の作り方

子ども達が大好きで、毎回、盛り上がるのがこの暗記ドア。私塾内でアンケートを取ったところ、92%の生徒が効果を実感して、今後も続けたいと答えている学習法からご紹介します。

1.覚えたいことを問題形式にして、75mm×75mmのふせんに書きます。
2.ふせんの裏にその答えを書きます。
3.そのふせんをドアに貼ったら、暗記ドアの完成。

ふせんに書かれた全ての問題に正解するまで、そのドアを開けることができません。どのドアに貼っても構いませんが、色々な人の目がある場所の方が続けやすいので、冷蔵庫の扉やリビングのドア、玄関ドアの内側などがおすすめです。トイレのドアも効果的です。
ずっと貼りっぱなしにしてしまうと、見慣れてただの風景になってしまうので、3回連続で答えられたふせんは剥がして、また新しい問題を貼るというルールも作りましょう。
さらに、剥がしたふせんはトイレの内側のドアに貼って記憶を定着させるのもおすすめです。何度も間違えた問題は、そのままふせんをノートの表紙裏側に貼って定期的に見るようにすると、テスト前の復習にも役に立ちます。

・POINT2 ふせんを使った辞書引き学習で、子どもの言葉が増える

辞書を使って知らない言葉を調べるのではなく、自分の知っている言葉を調べて興味・関心を広げていくという学習法です。立命館小学校で校長をしていた深谷圭助先生が考案された学習法なのですが、TBS系テレビ番組「教えてもらう前と後」で紹介させて頂いたときも大反響でした。

1.辞書と50mm×15mmのふせんを用意します。
2.例えばサッカーが好きな子なら、「サッカー」を調べて、意味や用例を読み、ふせんを貼ります。
3.連想ゲームのように、サッカーにまつわる言葉や、用例に出てきた気になる言葉をどんどん調べて、調べたものにふせんを貼っていきます。

調べる喜び、知る楽しみを子どもに教えてあげることで、授業中は普段の勉強で知らない単語が出てきた時に、自発的に調べたいという気持ちになります。またふせんを貼ることで辞書がぱんぱんに分厚くなり、調べた言葉の量が可視化されることで達成感も感じられます。
辞書をひくまでのアクションを減らすことで習慣化しやすくなりますので、辞書はケースにしまわずに、出しっ放しにして、リビングの机など手に取りやすい状態で置いておくのがおすすめです。インターネットで知らない言葉を検索するとすぐに答えを導くことができますが、辞書をひく手間によって思考の余白が生まれるのもメリットです。
すぐに答えを見て終わるのではなく、辞書をひきながら自分で予測をしたり考えたりすることで、インプットした言葉が定着しやすくなるというメリットもあります。

・POINT3 読解力が高まる、ふせんを使った書き込みメモのテクニック

本や教科書を読み流すだけではなく、考えたことをふせんに書きながら読む読書の方法を紹介します。
本に直接書き込まずにふせんに書くことによってハードルが下がり、思いついたことを自由にどんどん書き込めるというメリットもあります。あとでどうまとめようか考えながら、アウトプットすることを前提にインプットすることで、勉強の効率がぐんと上がります。

1.あとで何を復習しようかと考えながら読みます。
2.復習したいところに75mm×25mmのふせんを貼ります。どうして貼ったのか、理由をふせんに書くと、振り返りがしやすくなります。
3.75mm×75mmのふせんにその本についてのまとめや要点を書いて、本の表紙の裏に貼ります。
4.テストの前には、ふせんを貼ったところを中心に復習しましょう。

・POINT4 4枚のふせんを使った記述分解で、子どもの作文力がのびる

最近の教育では、作文力が求められています。センスがないから作文は苦手という声を多く聞きますが、作文力はセンスで決まるのではありません。ふせんを使って文章の型を学ぶことで、論理的な文章を書くテクニックを誰でも身につけることができます。

1.75mm×75mmの4枚のふせんを用意。
2.各ふせんの左上に「意見」「理由」「経験」「結論」とそれぞれ項目を書いていきます。
3.続いて、「意見」→「理由」→「経験」→「結論」の順にふせんを埋めていきます。書く内容は、一枚のふせんにひとつ。文章にするのではなく、箇条書きでOKです。複数のアイデアが思いつく場合は、ふせんの枚数を増やして書き出しましょう。経験は具体的なエピソードを、いくつも思い出して書いてみてください。この部分を膨らませることで、作文に説得力を出すことができます。
4.いくつか書き出したら、「意見」→「理由」→「経験」→「結論」の順で4枚のふせんを選んで組み合わせて、文章化してみましょう。

小学生は100文字程度の作文が書ければ充分。中学受験や高校受験で意見文が出る場合は200字程度が多いので、200字を目標に書いてみましょう。

・POINT5 おうち英語図鑑で、楽しみながら単語をインプットする

調べる→貼る→剥がすの3つのステップを繰り返すことで、ゲーム感覚で英単語を覚えられるテクニックを紹介します。リビングや自分の部屋をふせんだらけにした、おうち英語図鑑を作って、英単語を楽しくインプットしましょう。

1.部屋の中を見回して、英語で言えるものを探します。
2.カップやソファのようなカタカナの言葉も、スペルを調べてふせんに書いて、そのふせんをその物に貼ります。
3.次に英語で言えないものを探します。
4.英語で言えなかったものは辞書で調べてノートに書き、その中で覚えたい物をふせんに書いて、貼りましょう。

覚えたら剥がすということも忘れずに。
英単語だけではなく、フレーズを書いて覚えるのも効果的です。例えばスイッチのところに「Turn on the light/Turn off the light」、洗面所のミラーに「take a bath/take a shower」、歯磨き粉に「brush my teeth」というように、身の回りのものに関連付けのある動作やフレーズを書いたふせんを貼るのも試してみてください。

・POINT6 ふせんを活用して、ケアレスミスの傾向と対策を練る

ケアレスミスを減らすためには、「どんなミスをしているのか」という傾向の分析から始めましょう。さらに、「どこに気をつけるか」と対策を考えることで、ケアレスミスを無くしていきましょう。

1.過去のテストでケアレスミスを探します。
2.次に、ケアレスミスで落とした点数を計算し、あるべき点数を算出します。
3.自分のミスの傾向を具体的に分析します。たとえば「計算ミス」で済ませるのではなく、「かっこを外す時の符号を間違えている」とか、「足し算・引き算とかけ算・割り算の順番を間違えている」など、具体的に何で間違ったのかを分析しましょう。さらに、その上で何に気をつけるのかを考えます。
4.その傾向と対策を、1枚のふせんにまとめます。ふせんのサイズは75mm×50mmか75mm×75mmのものがおすすめです。1枚のふせんに対して、1つのトピックを書くようにしてください。
5.ふせんをノートの表紙の裏側にはって、テスト前に必ず見返すようにしましょう。

まとめ & 実践 TIPS

たくさんの子ども達と接しながら色々な学習法を試してきましたが、ふせんを使った学習法は子ども達の反応が非常によかったので、1冊の本にまとめて紹介することになりました。今回は著書の中から、いくつかのテクニックをご紹介させて頂きました。是非、子どもと一緒に、ゲーム感覚で取り組んでみてください。
学習習慣を身につけるために、特に子どもが小さいうちは、「学びと遊びの境界線を溶かす」ということを意識すると良いと思います。勉強をするために机に座らせるのではなく、勉強をスタートするハードルを下げること。子どもが夢中になって取り組めるような学びを提供すること。つまり、いかに学びを楽しくするかという工夫が大事です。
ふせん学習法が、学びを楽しむためにいろいろな工夫を編み出す、そのきっかけになったらいいなと願っています。

執筆/松井佐智子

出典:東大式ふせん勉強法

『東大式ふせん勉強法』(清水彰浩:著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)

プロフィール

清水章弘

清水章弘

1987年、千葉県船橋市生まれ。私立海城中学高校、東京大学教育学部を経て、同大学院教育学研究科修士課程修了。20歳の時に、「勉強のやり方」を教える塾、株式会社プラスティーを起業。学習アドバイザーとして、本や連載の執筆、講演活動、教育系テレビ番組の監修などを行っている。『東大式ふせん勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。