中央教育審議会(中教審、文部科学省の諮問機関)の大学分科会が2021年12月、「これからの時代の地域における大学の在り方について−地域の中核となる大学であるために−」と題した審議まとめを行いました。
地方にある大学は現在、18歳人口の減少や都会志向の強まりにより、定員の確保にも苦労していることも否定できません。しかし、少子高齢化で疲弊している今こそ、大学の果たすべき役割があるようです。

この記事のポイント

  • 地方国立大の定員増きっかけに
  • 「DX時代」の産業に不可欠
  • 「魅力ある学び」のためにも

地方国立大の定員増きっかけに

大学分科会は、第10期中教審(2019年2月〜2021年2月)で、内閣官房の検討会議が提起していた地方国立大学の特例的な定員増について、見解をまとめました。その延長で、21年3月に発足した第11期でも、引き続き地方大学の在り方について、議論を深めることにしました。
なお地方国立大学の定員増は、22年度に向けて2大学が申請したものの、審査の結果、いずれも採択されませんでした。23年度以降の対応が期待されます。

「DX時代」の産業に不可欠

さて、今回の審議まとめでは「地域における大学」という言い方をしています。「地方」が「国」や「中央」に対する言葉であるのに対して、「地域」は東京圏や都市部の中にもあるからです。全国どんな地域にあっても、地域の中核となる大学が必要だ……。審議まとめには、そんなメッセージも込められています。

人工知能(AI)などの技術革新でSociety5.0(超スマート社会)が到来している中、地域産業も「デジタルトランスフォーメーション(DX=デジタルによる変革)」やグローバル化への対応を通して、地域を活性化することが期待されます。高度な研究や教育を行っている大学に、その中核を担ってもらおうというわけです。

「魅力ある学び」のためにも

審議まとめの中では、高校をはじめとした「初等中等教育機関との接続」の重要性も指摘しています。将来の地域を担う子どもたちにとって、「真に必要な魅力ある学びが地域で用意されていることが必要」(審議まとめ)だからです。実際、高校の「総合的な探究の時間」などを中心に、大学が協力して探究活動の充実を図る例が、全国に広がっています。

一方で、長引く不況に新型コロナウイルス感染症の拡大が追い打ちを掛け、大学進学にも困難をきたしています。全国どんな地域でも安心して学べる環境を整えることが急務であり、そうした意味でも地域大学の果たす役割が重要です。これからDX時代を担う子どもたちにとっては、ますます必要なことです。

まとめ & 実践 TIPS

最近では、都市部の大学でも別の地域をフィールドとして研究活動を行ったり、高校と連携したりする例が当たり前になっています。たとえ大都市圏の大学に進学しても、就職の際にUターンやIターンで地方に移住することも考えられます。
コロナ禍でリモートワークが当たり前になった今後の社会では、そうした流れがますます促進されることでしょう。そうした点も含めて、「地域の中核となる大学」の役割が期待されているのです。

中央教育審議会大学分科会(第164回)会議資料
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/mext_00310.html