内閣府は2021年12月24日、「子供の生活状況調査の分析」報告書を公表しました。子どもの貧困の実態を調べるため、政府として初めて行った全国調査の結果を分析したものです。
貧困家庭に育った子どもが大人になっても貧困状態から抜け出せない「貧困の連鎖」も心配されており、対策が急務に迫られています。

この記事のポイント

  • 「相対的貧困」は8軒に1軒
  • さらに苦しい「ひとり親世帯」
  • 大学を検討する余裕もなく

「相対的貧困」は8軒に1軒

貧困状態をより実態に近い形で判断するためには、世帯年収の単純な平均値ではなく、「相対的貧困」を見るのが一般的です。家族の人数などで調整した世帯年収を高い順に並べ、真ん中に位置する年収(中央値)を基準に取り、その半分(貧困線)に満たない世帯が、これに当たります。
中学2年生とその保護者を対象に行った今回の調査では、年収158万7,700円未満という相対的貧困状態にある家庭の割合は12.9%でした。
つまり、子どものいる家庭の8軒に1軒が、相対的貧困状態に置かれているわけです。40人のクラスなら、5人はいる計算です。そう考えると子どもの貧困は、非常に身近な問題だと言えます。

さらに苦しい「ひとり親世帯」

とりわけ子どもの貧困率は、ひとり親世帯で50.2%、母子世帯に絞ると54.4%にもなります。仕事と子育ての両立が難しく、なかなか貧困状態から抜け出せない困難を抱えていることがうかがえます。
現在の生活が「苦しい」「大変苦しい」と回答した割合は、全体の平均25.3%に対して、貧困世帯では57.1%を占めます。食料や衣服が買えなかったり、公共料金を払えなかったりする割合も高くなっており、とりわけ、ひとり親世帯や母子世帯で深刻です。

大学を検討する余裕もなく

子どもに期待する学歴を尋ねても、「大卒またはそれ以上」が全体の50.1%だったのに対して、貧困世帯では25.9%にすぎません。「高校まで」と考える理由も「家庭の経済的な状況から考えて」と回答したのが、全体の30.5%に対して、貧困家庭では44.4%と高くなっています。
たとえ子どもの学力が高くても、大学進学を検討する余裕のない家庭が少なくないことがうかがえます。
子どもが「学校の授業以外で勉強はしない」と回答したのは、全体の4.9%に対して、貧困家庭では12.9%と2.6倍でした。しかし、必ずしも本人の責任とは限りません。調査結果を見ても、貧困家庭は、子どもや学校との関わり方が薄くなりがちだからです。

まとめ & 実践 TIPS

文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査の結果分析では、世帯収入が高いほど学力も高くなることが明らかになっています。2021年度調査で、家にある本の冊数を尋ねたところ、「0〜10冊」と回答した割合が、小学6年生で11.0%、中学3年生で14.4%ありました。
貧困家庭の支援はもとより、貧困状態にある子どもの気持ちに寄り添い、手厚い指導を行うことが不可欠です。今回の調査でも、新型コロナウイルス感染症の影響が低所得者層を直撃していることが浮き彫りになっており、対策は待ったなしです。

2021年 子供の生活状況調査の分析 報告書
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html

全国学力・学習状況調査
https://www.nier.go.jp/kaihatsu/zenkokugakuryoku.html