絵画や彫刻、映像、音楽、インスタレーションなど、多様な表現で数多くの作品を生み出し続けているアーティスト・大竹伸朗。ベネッセアートサイト直島では、大竹伸朗の作品を1990年代から近年のものまで、複数の島で展開しています。今回は、瀬戸内海に点在する大竹伸朗の作品について紹介します。

大竹伸朗《シップヤード・ワークス 船底と穴》を鑑賞している様子

この記事のポイント

  • 風景や昔の記憶と重なった作品
  • 3つの島に点在した大竹作品をめぐる
  • 旅の思い出をコラージュする

風景や昔の記憶と重なった作品

大竹伸朗による瀬戸内での作品展開は直島から始まります。1994年に周囲の自然環境のなかに作品を設置する野外展「Open Air’94 “Out of Bounds”—海景の中の現代美術展—」にて、大竹は1990年に制作した「シップヤード・ワークス」シリーズ3点を展示します。美術館とホテルが一体となったベネッセハウス ミュージアムの2Fカフェの外と、屋外の海岸近くに設置されており、いずれも作品越しに瀬戸内海をのぞむことができます。

大竹伸朗《シップヤード・ワークス 船尾と穴》
写真:村上宏治

2006年には、直島の本村地区で展開する「家プロジェクト」のなかで、歯科医院兼住居であった建物を大竹がまるごと作品化しています。

家プロジェクト「はいしゃ」
大竹伸朗《舌上夢/ボッコン覗》
写真:鈴木研一

診療室、待合室といった歯科医院当時の面影が残る間取りや、かつて住んでいた子どもが描いた壁の落書きといった昔の記憶を残しつつ、大竹が旅先で見つけた看板や建物のパーツ、愛媛県の宇和島で譲り受けた舟形など、さまざまなものがコラージュされ、本村という集落に重なりながら存在しています。

3つの島に点在した大竹作品をめぐる

ベネッセアートサイト直島では、大竹伸朗の作品に焦点を当てた「バックグラウンドツアーVol.3」を実施します。このツアーでは、瀬戸内の大竹作品の背景を紹介するレクチャーから始まり、直島、豊島、女木島に点在する作品の鑑賞と旅の思い出を作品にする「コラージュワークショップ」が体験できます。(2022年11月現在)

大竹伸朗 直島銭湯「I♥湯」(2009)
写真:渡邉修

大竹伸朗「針工場」
写真:宮脇慎太郎

女根/めこん
写真:渡邉修

1日で3つの島の大竹作品をめぐると、それぞれの作品のつながりや島・場所ごとの違いに気付くでしょう。

旅の思い出をコラージュする

ツアーの最後には、旅の思い出をコラージュ作品として制作するワークショップが行われます。1日の体験を振り返るとともに、さまざまなものを組み合わせて作品をつくる大竹伸朗の制作プロセスが追体験できます。

コラージュワークショップの様子

これまでに「針工場」で作品の写真やパンフレット、チラシなどを用いて作られた作品群

作品を鑑賞するだけでなく、大竹と同じ手法を用いてオリジナルの作品を制作することで、アーティストをより深く理解できるほか、これまでにない視点で物事を見つめることにつながるかもしれません。この機会に、1人のアーティストの視点を通して瀬戸内の島々をめぐってみてはいかがでしょうか。