お子さまの将来の可能性を広げるため、英才教育や早期教育に関心があるかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、お子さまに何を習わせたらよいか迷ったり、かえってお子さまの発達に悪い影響を与えてしまわないか心配したりすることもあるかもしれません。
そこで今回は、ベネッセ教育総合研究所で、幼児教育や幼児の発達を専門に研究する高岡純子が、英才教育や早期教育のメリットや注意点、お子さまの可能性を伸ばすサポート方法などについて解説します。

この記事のポイント

  • 英才教育・早期教育とは? いつから始める?
  • 英才教育・早期教育のメリット
  • 英才教育・早期教育で気を付けたい点
  • 子どもの成長につながる英才教育・早期教育の取り組み方
  • おうちでもできる、お子さまの力を引き出す関わり方
  • ほかの保護者のかたが行っていた早期教育や習い事は?

英才教育・早期教育とは? いつから始める?

英才教育は、秀でた能力を見つけ、伸ばすために幼少期から行われる教育を指す言葉です。
たとえば水泳の得意なお子さまたちを集めて、水泳の強化選手として集中的にトレーニングを受けさせるといったものは、英才教育の一つになると思います。

一方、早期教育はお子さまの年齢に見合った学びよりも早い段階で先取り教育をしていくことを指します。
早期教育は発達の早い時期から始めたほうが、より身に付きやすいのではないかという理由で取り組まれることが多いです。
早期教育の内容は、勉強、音楽、スポーツ、英語などさまざまです。

早期教育は「〇才から始めるべき」といった定義や目安は特にありません。お子さまの発達や興味、どういったものを学ばせるか、目的や方法によって始める時期が決まってきます。

英才教育・早期教育のメリット

幼児期はお子さまの好奇心が旺盛(おうせい)な時期です。遊びや生活の中でさまざまなことを身に付けたり学んだりします。

英才教育や早期教育のプログラム自体も、幼児期のそうした発達の特徴を踏まえたうえで、遊びをとおして学ぶことができるような工夫や環境づくりがプログラムの中に盛り込まれているものがあります。

お子さまが楽しんで取り組むことで得られるメリットとしては

  • 「もっとやりたい」という気持ちで主体的に取り組むことができる
  • 自分なりに工夫して取り組むことができる
  • 「ちょっと難しいな」と思うときでも挑戦して、諦めずやってみようと思える

などがあります。

逆にお子さまにとって興味のない内容であったり、面白く感じられないものについては、上記のようなメリットは得られにくいでしょう。
また、英才教育や早期教育は、保護者のかたが期待したとおりの力が身に付くかどうかの保証はありません。
まずは、結果ではなく、お子さまが楽しみながら取り組んだり、がんばったり、工夫をしたりしたことで得られることに着目するとよいでしょう。

英才教育・早期教育で気を付けたい点

■生活のバランスに目を配る

英才教育や早期教育の注意点の一つは、お子さまの生活のバランスを崩すようなスケジュールにしないことです。
幼児期は五感をとおしていろいろな体験から学ぶことがとても大事な時期。
家族やお友達とのコミュニケーション、遊び、さまざまな日常の生活体験などをバランスよく行うことが必要です。

特に、幼児期は睡眠時間が平均10時間程度と長く、1日の中で自由に過ごす時間は、園に通っているお子さまの場合は、降園後から就寝までの数時間になります。
そのような限られた時間の中で、長時間の英才教育や早期教育を取り入れれば、他の活動が少なくなり、お子さまの発達に影響を及ぼすリスクがあります。

睡眠時間、生活のために必要な時間や自由に過ごせる時間などをしっかり確保するように気を付けましょう。

■楽しそうに取り組めているか観察する

もう一つ気を付けたい点は、たとえば先生が厳しい、プログラムの内容が合わないなどの場では、お子さまもストレスを抱えてしまう可能性があること。
お子さまの様子に十分気を付けて、習い事に行きたがらないといったような辛そうな様子のときは無理をさせないほうがいいでしょう。
そのまま無理をさせると苦手意識につながって逆効果になってしまいます。お子さまと話をして、気持ちを聞いてみるといいですね。

時には、お子さまの生活バランスや習い事を見直す決断も必要です。
習い事をとおして、お子さまの姿を観察し、その興味を大切にしてあげてください。

■保護者のかたの気持ちを押し付けない

「自分がピアノを習っていたので子どもにも習わせたい」など、保護者のかたがどうしても習わせたい習い事もあるかもしれません。
それ自体は悪いことではありませんが、なかには保護者のかたを喜ばせるために無理して習い事をがんばってしまうお子さまもいます。
保護者のかたの喜んだ顔は、お子さまにとってはとてもうれしいものなのです。
無理をしてしまっている場合、お子さま自身の興味や、本当にやりたいことに向かう気持ちを伸ばす妨げになるかもしれません。
保護者のかたや先生と一緒に取り組める楽しさを味わえるなど、お子さまが楽しめることにつなげる工夫が大切です。

■結果ばかりに注目しない

習い事で「賞を取ってほしい」など、保護者のかたがお子さまの結果に注目することもあると思います。
思うような結果が出ない時や、友達の結果と比べてしまった時などに保護者のかたががっかりした姿をお子さまに見せたり、「もっとこうしなさい」とリードしてしまったりすることは控えたほうがよいでしょう。

子どもの成長につながる英才教育・早期教育の取り組み方

英才教育や早期教育をお子さまの成長につなげるには、お子さまが好きなことを見つけて、それに関する好奇心を満たす環境を整えることが、一番大切なサポートになるでしょう。
そのための第一歩として、お子さまが何に興味を示すのか、よく観察してみてください。
そして興味を持っていることに合わせた遊びや、お子さまが自分からもっとやってみたくなる環境を考えてみてはいかがでしょうか。

観察していてもお子さまの興味や好きなことがよくわからない、というケースもあると思います。園に通っているお子さまであれば、園の先生に園での様子を聞いてみるのも一つの方法です。家庭にはない環境で過ごすお子さまの、意外な興味や関心を見つけられるかもしれません。
何が好きかを見つけるには、お子さまが「これが好き」「これがやりたい」と言えるように、お子さまの言葉を引き出す声かけがとても大事になります。
たとえば「◯◯が楽しそうだね。やってみる?」など問いかけをしたり、「◯◯が好きなの?」など、お子さまが言いたそうにしている言葉をうまく引き出せるといいですね。

こうしたコミュニケーションを重ねていく中で、自分がやりたいことを少しずつ自分から言葉にしたり、表現したりできるようになるでしょう。また、今は見つからなくても、お子さまが成長とともに自分の世界を広げていく中で、興味や関心を持てるものを自然に見つけることもあるでしょう。あせらずに見守ることが大切かもしれません。

おうちでもできる、お子さまの力を引き出す関わり方

ここからは日常の遊びや生活の中で、お子さまの力を引き出す方法を紹介します。
特別な習い事をさせなくても、あるいは特別な道具や素材を用意しなくても、お子さまの興味に合わせてとことん遊び込めるような環境を作ってあげることは、お子さまの力を伸ばすのに効果的です。

■遊びの延長線上で取り組む

たとえば「うちの子は積み木が好きそう」と思ったら、いろいろな空き容器や箱を用意して置いておく、「うちの子は言葉に興味を持っているな」と思ったら、日常的にしりとり遊びを楽しんでみるなどです。
お子さまなりに遊びながら工夫ができて、家族や友達とのコミュニケーションが楽しくなるものや、遊びの中でちょっと難しいことをクリアできそうなものを用意してあげるといいでしょう。
また、何に興味をもつかを知るためにもまずはいろいろな体験を用意してあげるとよいと思います。

■お手伝いなどを発展させる

親子でお料理をする、お買い物に行く、どこかに出かけるなど、日常生活の中でも、幼児期のお子さまはいろいろなことを吸収して学んでいくでしょう。
たとえば「料理」に興味を持ったら、危なくない範囲でできることをやってもらうなど、お子さまの「好き」や「得意」をうまく引き出すよう接してみましょう。

■好きな学びをさらに発展させる

数字を数えるのが得意なら、一緒にお風呂に入った時に数を数えてみたり、料理で調味料を量るなどで、数字に親しむことができます。
手紙のやり取りが好きなお子さまなら、保護者のかたと手紙を交換すれば、より多くの文字や表現を自然に覚えていくこともできるでしょう。
そのほかにも、生き物が好きな場合、虫を飼ったり植物を育てたりして観察することも、好奇心や学びにつながります。

このように特別な習い事をしなくても、日常の中でお子さまと一緒にいろいろな体験をする時に、ちょっと工夫をして何かを身に付けられるようにする。
そういった行動が、やがてお子さまが興味を持ったことに主体性をもって取り組んでいける力を育むでしょう。

ほかの保護者のかたが行っていた早期教育や習い事は?

特別なことを用意しなくてもいいとはいっても、お子さまに「習い事をしてほしい」、「何を習ったらいいかな」と思っている保護者のかたもいらっしゃるでしょう。
そこで、お子さまの習い事に関する体験談※をご紹介します。みなさんはどのように取り組んだのでしょうか。参考にしてみてください。

〇習字・書道/英会話/体操

全部自分から興味を持ってやり始めたので、楽しんで通っていてどれもとても効果がありました。習字では教わったコツを押さえて文字をキレイに書くようになり、英会話教室では基礎的なやりとりを英語でやってみたり、体操では縄跳びが上手になったりしています。
どの習い事も共通して粘り強く根気よく取り組んでいて、こちらが見習わなければという気持ちになります。
(京都府 まちさん 幼稚園生の保護者)

〇ピアノ・エレクトーン

習っているうちに集中力がつきました。また、すぐ諦めずに努力できるようになったと思います。音楽もさらに好きになったようです。
(群馬県 かなつんさん 幼稚園生の保護者)

〇ピアノ/体操/水泳/ミュージカル/リトミック

どれも子ども自身がやりたがった習い事で、親がすすめたものは1つもありません。そのため、子ども自身が楽しそうに続けています。
(神奈川県 A子さん 幼稚園生の保護者)

〇英会話

英会話を続けており、小学3年生でもう英検(R)を受けるくらいにまで成長しました。会話だけでなく英語が読めるようになり、ローマ字でタイピングもできるようになっています。
(神奈川県 わかめさん 小学3年生の保護者)

〇ピアノ/英会話

ピアノが大好きで毎日楽しく練習しており、学校の音楽の授業がとても得意になりました。
英会話(オンラインスピーキング)のおかげで英語も得意となり、自信を持って英語を話すことができていて英語の授業でも活躍しているようです。
(群馬県 かぼちゃんさん 小学5年生の保護者)

〇プログラミング

プログラミングは小学校に入学後も役立ち、今でも得意で自信がついているようです。
(埼玉県 きりんさん 小学5年生の保護者)

〇水泳/英会話

もともと人見知りで内向的な性格でしたが、スイミングを始めてから積極的になり自信がついたようで、今でも選手クラスで週に4回の練習をがんばっています。
(福岡県 けいこさん 小学5年生の保護者)

〇ピアノ・エレクトーン/体操/水泳

子ども自身が気になることはできるだけやらせたせいか、今も興味があることにチャレンジする方だと思います。
(愛媛県 えみさん 小学5年生の保護者)

〇絵画

美術教室に通っていますが、今では工作がすごく得意になって、手先が器用になりました。親もびっくりする細かさです。
(神奈川県 おかめさん 中学1年生の保護者)

〇水泳

水泳は幼稚園から始めました。級がなかなか上がらなかったとき、本人は悔しかったようです。でも何度もがんばって挑戦して合格したときは、達成感を得たようでした。
(岡山県 さくらみどりさん 中学1年生の保護者)

※2024年2月に行った「保護者のかた向けアンケート」(1,217人回答)に寄せられた体験談をもとに作成。

まとめ & 実践 TIPS

英才教育・早期教育は、お子さまが興味をもって楽しく学べば、自分なりに工夫して取り組む気持ちや、粘り強さを育てることができるでしょう。その経験はお子さまの将来の財産になるといえます。
そして、お子さまが楽しく取り組むには、保護者のかたがお子さまのやりたいことに関心をもち、それに取り組める環境を整えることが一番大切です。
お子さまとの何気ないコミュニケーションなどから、楽しめることを見つけたり、さらに興味を掘り下げたりしていけるとよいですね。