東大阪市のセブンイレブン加盟店が時短営業を強行してから約1年。この間、多くのメディアでコンビニオーナーの苦境が報じられてきた。

今年2月6日、経産省の「新たなコンビニのあり方検討会」がまとめた提言は、柔軟な営業時間や加盟店支援の強化など、先行きが見えない加盟店に寄り添った内容と評価できる。

一方で、多数の加盟店オーナーから計12回の聞き取りを行うなど、広範な課題を扱っているものの、経産省という枠組みであったために、触れられなかったテーマもある。(編集部・園田昌也)

●コンビニオーナーの「労働組合」問題

検討会の報告書によると、本部と加盟店に意見の相違が生じたとき、オーナーに相談する相手がいないという。そこで中立的な相談窓口や、裁判外紛争解決手続(ADR)の枠組みの整備が提言されている。

一方、コンビニオーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」は、別の形での解決を目指している。検討会では触れられていないが、「労働組合」を通じた団体交渉による方法だ。組合なら本部側に誠実交渉義務が発生する。

コンビニオーナーは「労働者」という側面と、人を雇う「経営者」としての側面を持っている。労働組合法は、労働者概念を広く捉えているが、コンビニオーナーが当てはまるかについては確定した判断がない。

コンビニ加盟店ユニオンは、地方労働委員会では労働組合として認められたが、中央労働委員会(2019年3月)では認められなかった。現在、東京地裁で争われている。

●提言でオーナーの「労働者性」どうなる?

今回の検討会の提言の中には、「労組法上の労働者かどうか」の判断に影響しそうな部分もあった。

たとえば、検討会が真っ先にあげている「『統一』からより『多様性』を重視」というものだ。

具体的には、24時間営業や店休日などについて、柔軟に対応するのが望ましいというものだが、営業時間や休日を選べることは、オーナーが「独立した経営者」と言える要素の1つだろう。

一方、本部によるスタッフ教育や人件費の一部負担、AI発注システムの推進などといった提言は、オーナーの助けになりそうだが、やり方次第では加盟店の裁量を狭めてしまう可能性があるかもしれない。

各チェーンが提言を実現する際には、便利さだけでなく、フランチャイズという枠組みの中で、適切かどうかという視点も必要になりそうだ。

●政府がフォローアップすることの意義は大きい

前述の中労委は、コンビニオーナーの組合は認めなかったものの、「交渉力格差が存在することは否定できない」として、コンビニ本部に対して、「適切な問題解決の仕組みの構築」などについての配慮も求めている。

しかし、今回の報告書でも指摘されているように、コンビニ業界ではオーナーと本部だけでなく、オーナー同士のコミュニケーションの場もまだまだ不足している。報告書ではこの点についての改善も求めている。

報告書は最後、「コンビニ各社、政府など関係者がそれぞれの立場で本報告書に示した提言を実現」することを期待する、と締めくくられている。

コンビニ加盟店ユニオンの裁判は最高裁までもつれる可能性が高い。加盟店とのコミュニケーションの改善などについて、政府がコンビニ各社の取り組みをフォローアップをしていくことの意義は大きいといえそうだ。