俳優の岡田眞善さんが9月8日、テレビ局が手配したタクシーに乗り込んだところ、間違った場所に連れて行かれてしまい、目的地への到着が大幅に遅れたことを自身のブログで明らかにした。

フジテレビの昼の番組に出演予定の岡田さんは、局側が自宅に回したタクシーに乗車。運転手が普段とは違う人だったが、「フジテレビまで、安全にご案内します」と声をかけられ、安心して乗ったようだ。

ところが、タクシーは普段とは異なるルートを走行。岡田さんが確認するも、運転手に「カーナビどおり」と言われたため、不安を覚えつつも、番組の資料などをチェックしていたという。

●到着した先は「フジテレビ」だが…

その後、なんとか「フジテレビ」に到着。しかし、そこはお台場にあるテレビ局の「株式会社フジテレビジョン」ではなく、世田谷区にあるまったく別の企業「株式会社フジテレビ」だった。

原因は、カーナビの誤入力。「フジテレビ」で検索し、「株式会社フジテレビ」を目的地に設定してしまっていたようだ。

運転手にカーナビを入れ直してもらい、あらためてお台場に向かおうとする岡田さん。だが、またも誤入力していたようで、お台場とは逆方向の横浜方面に行ってしまう。

運転手は「お台場、海の方だから」と言って、カーナビに表示されている「目的地まで686km、到着予定時刻22時11分」などは気にせず、カーナビに指示された方向へタクシーを走らせたという。

最後は、しびれを切らした岡田さんが正しい道順を指示。お台場のフジテレビには90分遅れで到着し、料金は「30,460円」を示していたという。

岡田さんは、料金の支払いについて、「フジテレビにお任せ」とした上で、「それ、そのまま、もらおうとしちゃってるの??」と疑問に感じたようだ。なお、岡田さんは番組への出演には間に合っている。

タクシー運転手は通常、地理や道路に精通しており、今回のようなミスはレアケースかもしれないが、それでも走行した分の料金は支払わなければならないのだろうか。清水俊弁護士に聞いた。

●岡田さんに責任なし

ーー局側が用意したタクシーで遅刻してしまった岡田さんですが、仮に番組への出演等にも遅れてしまった場合、何か責任を問われることはありますか

「まず、一般論として、番組への出演等に遅れた場合、テレビ局との間の出演契約に違反したことになりますので、債務不履行に基づく損害賠償責任などが発生し得ます。ただ、遅刻に過失がなければ責任は問われません。

本件では、遠回り・遅延の原因がもっぱらタクシー側にあるため、岡田さんが責任を問われることはないと考えます。

さらに言えば、『局側が用意したタクシー』が、フジテレビが行き先・到着時刻などを指定・指示した上で手配したタクシーで、岡田さんとしては『ただ乗るだけ』だったとすれば、なおさら責任を問われる余地はないでしょう」

●合理的なルートで到着した場合に発生する料金以上を支払う義務はない

ーー今回のような場合でも、表示された料金を支払わないといけないのでしょうか

「タクシー会社と乗客との間には旅客運送契約が成立しているところ、タクシー会社は指定された目的地に合理的なルートで乗客を送り届け、乗客はその運送料を対価として支払うことが契約内容となります。

本件では、タクシー運転手が、指定された行き先がお台場にあるテレビ局『フジテレビ』であることを認識しながら、カーナビの目的地設定で『株式会社フジテレビ』という名前こそ紛らわしいものの全く別の場所を設定してしまったことが悲劇の始まりでした。

その時点で住所などを確認して気づくべきでしたが、その後も岡田さんから再確認を求める声が何度も出ていたにもかかわらず、全くその誤りに気付かずに極めて不合理なルートを走行させ、到着も大幅に遅れました。

そのため、最終的に表示された金額は極めて不合理なルートを前提にしていることから、本来の合理的なルートでお台場のフジテレビに到着した場合に発生する運送料以上の金額を支払う義務はないでしょう」

ーータクシー側のルート選択次第で、料金がかさむことは一般的にあり得そうです

「目的地へ行くためのルートは複数あり得ます。また、信号の数が少なかったり、時間帯などによって混み具合が異なったりとそれぞれ良し悪しがあります。

そのため、目的地へ行くためのルートとして一般的に選択され得るルートを選択したのであれば、結果的にミスだったと言えたとしても、それに伴う料金アップは甘受せざるを得ないと思います。

私自身も、近所の田中屋という蕎麦屋を目的地として告げたところ、500mほど離れた別の田中屋に連れていかれた経験があります。乗客の指示が曖昧だったことも相まって料金アップが生じた場合でも、やはり一定の限度では受忍しなければならないでしょう」

【取材協力弁護士】
清水 俊(しみず・しゅん)弁護士
2010年12月に弁護士登録、以来、民事・家事・刑事・行政など幅広い分野で多くの事件を扱ってきました。「衣食住その基盤の労働を守る弁護士」を目指し、市民にとって身近な法曹であることを心がけています。個人の刑事専門ウェブサイトでも活動しています(https://www.shimizulaw-keijibengo.com/)。
事務所名:横浜合同法律事務所
事務所URL:http://www.yokogo.com/