新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する中、職場で不安を抱えながら働いている人も多いかもしれません。弁護士ドットコムには「コロナの関係で退職しましたが、これは自己都合になるのでしょうか」という質問が寄せられました。

女性が働く施設では、2020年11月下旬にクラスターが発生し、数名の陽性者が出ました。女性はPCR検査で陰性でしたが、その後の勤務についても「危険手当は出さない」と言われてしまいました。

女性は「勤務は怖くてできない」とクラスターが落ち着くまで休んでいましたが、「補償もない中では不安で働くことはできない」と12月中旬に退職したといいます。

通常であれば自己都合で退職すると、失業手当などの給付制限期間があります。しかし、女性のようにコロナを理由に退職した場合は、その制限がつかない特例措置があることを知っていますか。徳田隆裕弁護士に聞きました。

●正当な理由がなく自己都合退職→給付制限がある 

——どのような場合に自己都合退職扱いになりますか

雇用保険の基本手当を受給する際、正当な理由がなく自己都合退職した場合には、給付制限が適用されます。

この給付制限ですが、2020年10月1日以降に離職した方は、給付制限期間は2カ月、2020年9月20日までに離職した方は、給付制限期間は3カ月となります。

正当な理由がある自己都合退職とは、賃金の未払の継続やパワハラ、退職勧奨などによる自己都合退職など17つの理由があります。

詳しくは「雇用保険に関する業務取扱要領52203 」(厚生労働省職業安定局雇用保険課作成)の269〜274ページを参照ください(https://www.mhlw.go.jp/content/000618805.pdf)。

——今回のように新型コロナウイルスが理由で退職した場合、「特定理由離職者」に当たりますか

「新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例」として、2020年2月25日以降に、「本人の職場で感染者が発生したことを理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合退職した場合」には、「特定理由離職者」に該当して、給付制限は適用されません。

今回の場合、その女性の職場でクラスターが発生したので、その女性が家庭や職場での感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合退職した場合には、特定理由離職者に該当して、給付制限は適用されないことになります。

新型コロナウイルスによって労働者が不利益を被る場合には、国が救済制度を拡充していますので、インターネットなどで、救済制度を調査するようにしてください。

【取材協力弁護士】
徳田 隆裕(とくだ・たかひろ)弁護士
日本労働弁護団、北越労働弁護団、過労死弁護団全国連絡協議会、ブラック企業被害対策弁護団に所属し、労働者側の労働事件を重点的に取り扱っています。ブログ(https://www.kanazawagoudoulaw.com/tokuda_blog)、YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCWJQX9xTgXZegEOHZUidsdw)で労働問題について情報発信をしています。
事務所名:弁護士法人金沢合同法律事務所
事務所URL:https://www.kanazawagoudoulaw.com/