10月から東京都も対象に加わった「Go To トラベル」。ネットでは仕事の出張で使うかどうかが話題になっている。

ツイッターを眺めてみると、職場が利用を促しているパターンがある一方で、制度趣旨や会計処理の関係で利用を禁止する会社もあるようだ。「Go To トラベルを使っていないことを証明する」という難題に悩まされている人もいる。

Go To トラベル事務局によれば、「公費による公務員の出張」については利用を控えるよう求めているが、民間の出張については「利用しても問題ありません」。

現在は「事前割引」になっているので、労働者が割引分を懐に入れることはできないようだ。問題になるとすれば、旅行代金の15%に相当する「地域共通クーポン」(翌日まで利用可能)の扱いだろう。

クーポンは一体誰のものになるのだろうか。また、利用が禁止されている会社で、万一Go To トラベルを使ってしまった場合、懲戒処分などの対象になってしまうのだろうか。鈴木謙吾弁護士に聞いた。

●法的には「会社のもの」

――労働者は地域共通クーポンを自由に使ってよいのでしょうか?

まず「GoToトラベル」事業については、2020年10月現在においてもサービス対象が変更される等、制度自体が刻々と変化している状況にあります。

そのため、将来的には異なる解釈もあり得る前提において、現時点での考え方をお伝えします。

まず出張費は会社の経費として会社が負担しているでしょうから、「地域共通クーポン」は出張業務から派生していると考えられ、一旦は会社に帰属すると考えるのが自然と思われます。

そのため、従業員が「地域共通クーポン」を会社に無断で使用することは、対会社との関係では望ましくないでしょう。

そうであれば、利用が禁止されている会社において、従業員が万一使用してしまった場合には、懲戒処分の対象になってしまう可能性があることは否定できません。

●「問題ない」とまでは言えないが…

――有効期限からすれば、会社がクーポンを持っていても仕方がなさそうですが…

実際の運用において、地域共通クーポンは翌日までしか使用できず、当該出張社員が使用しなかったとしても、会社に損害が発生する可能性は低いでしょう。

また従業員の福利厚生目的として、地域共通クーポンの利用を認める会社の方が一般的ではないかとも思います。

そうなると、仮に従業員が利用禁止規定に違反したとして、会社としてどの程度の懲戒処分まで行うことが相当と言えるのでしょうか。

「GoToトラベル」事業が税金で負担されていることや会社の規則に違反している点を重視すれば重い懲戒処分もあり得るかもしれませんが、地域の飲食店を応援する趣旨からすれば重い処分は不適切のようにも感じます。

法的には、利用禁止規定があるのに従業員が使用してしまっても問題ないとまで言うことはできませんが、会社として懲戒処分を行う場合には、従業員の悪質性や違反の程度に伴った相当な内容が妥当すると考えるべきではないでしょうか。

【取材協力弁護士】
鈴木 謙吾(すずき・けんご)弁護士
慶應義塾大学法科大学院教員。東京弁護士会所属。
事務所名:鈴木謙吾法律事務所
事務所URL:http://www.kengosuzuki.com