自宅前の「月極駐車場」を通過して大通りに出るのはダメですか? そんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられた。相談者の自宅から大通りに出る道は、軽自動車が「なんとか通行できる」程度の道幅だという。

そこで、日常的に家の目の前にある駐車場を「ワープ」、つまり通り抜けをしているが、駐車場に「車で通過しないように」という注意書きが掲示されるようになった。相談者としては「無断駐車とかではなく、ただ通過するだけなので許可をいただきたい」と考えている。

このような場合、相談者が通り抜けをすることは、民事、刑事で何らかの責任に問われる可能性はあるのか。鬼沢健士弁護士に聞いた。

●他人の私有地を無断で通過「民事不法行為にあたる」

「当然ですが、駐車場の管理者から通過することを認めてもらえれば、民事・刑事ともに法律上の問題が生じることはありません。ですから、このケースで大事なのは駐車場を通過することを認めてもらうことです。

仮に認めてもらえない場合についてです。もしこの駐車場を通らないと道路に出られない場合には、法律上の囲繞地(いにょうち)通行権が認められる可能性があります。この場合には、承諾なく通過可能です。

囲繞地通行権が発生しない場合、他人の私有地を無断で通過する行為は、民事上の不法行為にあたると考えられます。そうすると不法行為によって生じた損害を賠償する義務があります。

もっとも、通過をするだけであれば駐車場側に具体的な損害を与えることは想定しにくいです。そのため実際の賠償額は低額になると考えられます」

●「駐車場関連の法律は駐車場側には酷な結果になりがち」

刑事では、どうでしょうか。

「月極駐車場とのことですから、建物などに隣接した駐車場ではないと考えられます。したがって『正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し』た場合に成立する建造物侵入罪は成立しないといえるでしょう。

すなわち、実は無断で通過をしたとしても法律上のリスクは小さいと言えそうです。無断駐車も同様ですが、駐車場関連の法律は駐車場側には酷な結果になりがちです。

そうは言っても家の前にある駐車場ですから、円満に解決したいですよね。駐車場の契約者が出し入れしているときには通過しないことなどを確約して、駐車場の管理者に通過を認めてもらう交渉をするのがいいでしょう」

【取材協力弁護士】
鬼沢 健士(おにざわ・たけし)弁護士
交通事故、労働、家事問題(離婚・相続)を取り扱う。
事務所名:じょうばん法律事務所
事務所URL:http://www.jobanlaw.com/