「先日、娘がお付き合いをしている方の妻だという女性から電話がありました」

弁護士ドットコムに19歳の娘を持つ女性から心配事の相談が寄せられました。

相談者によると、娘さんは40代の男性と同棲中。相談者は歳が離れていると大反対したものの、押し切って出て行ったそうです。しかし、まさか相手が既婚者だったとは…。

相談者が娘さんに確認したところ、既婚者であることは知っていたそうです。むしろ、娘さんが追い出す形で、相手の妻は家を出ていくことになったとか。

相手の女性は、娘さんに慰謝料を請求するつもりのようですが、奨学金で学校に通う未成年に大金が用意できるはずもありません。

こんなとき、慰謝料はどうなるのでしょうか。長瀬恵利子弁護士に聞きました。

●未成年のときは親が払うの?

ーー娘さんは未成年ですが…

未成年であっても、民法上の不法行為責任として、慰謝料の支払義務が生じます(民法709条)。

例外的に、娘さんに自己の行為が違法なものであり、法的責任が生じることを認識する能力がない場合は、監督義務者である親の責任が問われることがあります(民法712条及び714条)。

しかし、裁判例上、13歳前後からその能力を備えていると判断される傾向があり、今回は、法的には娘さんの責任が問題になると考えられます。

●支払いは百万円単位か

ーー相場的に慰謝料はどのくらいになるでしょうか?

不貞行為による慰謝料額(損害額)は、100万円から300万円程度で解決に至るケースが多い感覚です。

しかし、不貞行為の期間や頻度、夫婦関係の破綻にどの程度影響を及ぼしたかなど様々な要素を考慮して決まりますので、相場はあってないようなものです。

上記の金額以上となる場合やそれ以下で解決するケースもあります。

娘さんが相手の妻を追い出すような態度をとったという事情は慰謝料の増額事由になると考えられますが、相手の男性も住んでいた家のようですから、その男性の態度や言動なども併せて検討する必要がありそうです。

●交渉の余地がないわけではない

ーーいずれにしても、学生に百万円単位の支払いは難しそうです

それでも、裁判で判決まで至る場合は、その地位を免れる方法はありません。

しかし、裁判外での交渉や、裁判上の和解に向けた協議においては、現実的に支払可能な分割金額を調整して、長期にわたって支払う方法で合意をするということが考えられます。

また、親が連帯保証人として合意や和解に参加することも考えられます。

そのような解決方法について相手方の同意が得られない場合は、親が慰謝料を立て替えて支払い、親と娘さんとの間で内部的に精算をするということも考えられます。

ーー減額の余地はありますでしょうか?

相手方の立場からすると、慰謝料を現実的に支払ってもらえなければ意味がありません。奨学金で生活をする学生という事情が、最終的な解決金額に影響することは十分あり得ます。

また、慰謝料の支払い以上に、謝罪や配偶者との関係断絶を強く希望する方もいます。相手方と話し合ってみるとより最適な解決方法が見つかることがあります。

【取材協力弁護士】
長瀬 恵利子(ながせ・えりこ)弁護士
東京弁護士会所属。得意分野は、離婚、遺言・相続、労働問題、その他一般民事。
事務所名:弁護士法人遠藤綜合法律事務所
事務所URL:https://www.endo-law.jp/