眠りの質を記録したり、いびきや寝言を録音できたりする「睡眠アプリ」。ときに、耳を疑う内容の音声が録音されてしまうこともあるようだ。ある女性の場合、アプリが記録していたのは、婚約者の裏切りだったーー。

弁護士ドットコムに相談を寄せた女性によれば、睡眠アプリが記録していたのは、同棲中の婚約者が誰かと性行為をしている音声だった。

相談者によると、その日は携帯電話を家に置き忘れたまま外出。帰宅後にアプリに録音されていた音声を聞き、婚約者が友人女性を呼び、性行為をしていたことが発覚したという。

相談者は、相手と別れることを考えている。睡眠アプリでも証拠として認められるのか。また婚約者に慰謝料を請求することはできるのだろうか。山口政貴弁護士に聞いた。

●録音データは証拠として使える

ーー音声など録音データ機能のある睡眠アプリを使っていたそうです。このようなアプリでも証拠として有効なのでしょうか

アプリの録音データを不倫の証拠として使うことは問題ありません。実際の裁判でも使われることがあります。

ーー婚約段階でも慰謝料を請求することはできるのでしょうか

まずはじめに、2人が婚約段階にあるか検討します。法律上、婚約とは「将来婚姻をしようとする旨の男女間の合意」を指します。

婚約が成立すれば男女は誠意をもって交際しなければならず、浮気をすることは許されません。逆に単なる交際であれば、(道義的な点は別として)二股、三股をかけようと、一方的に別れを告げようと法律上の責任を問われることはありません。

そこで、婚約か単なる交際かは非常に重大な問題になるのですが、婚約は結婚と違い、婚約が成立したかどうかの明確な基準はありません。ですので、婚約が成立したかどうかは、結婚に向けた具体的な行動がなされているかどうかという基準で判断されます。

●婚約段階の慰謝料「50万円〜100万円」

ーー相談者の場合はどうでしょうか

本件の場合は、婚姻届に記入をしていて目標金額までお金がたまったら提出する予定だったということですが、これだけでは婚約が成立しているかどうか微妙です。

これ以外に、(1)婚約指輪を渡した、(2)式場の予約をした、(3)親族との顔合わせをした、(4)職場の同僚や知人に婚約者と紹介した、等の事情があれば婚約が成立したと判断されることになります。

ーー婚約が成立していた場合、慰謝料請求はできますか

婚約が成立していれば当然婚約者に慰謝料請求することができますし、婚約者に対し婚約破棄を告げることも可能です。慰謝料の額ですが、裁判では50万円〜100万円程度の額になることが多いようです。

【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/index.html