政府は6月25日、「全世代型社会保障検討会議」を開き第2次中間報告をまとめた。フリーランスとして働く人に関し、国の労働災害保険の「特別加入制度」対象拡大を検討すると明記した。

労災保険は、労働者として事業主に雇用されている人が対象となっており、自営業など労働者以外の人は対象になっていない。ただ、特別加入は労働者でなくても、業務の実態などから、労働者に準じて保護するにふさわしい場合に認められてきた。

具体的に特別加入が認められるのは、(1)中小事業主等、(2)一人親方等、(3)特定作業従事者、(4)海外派遣者の4種だ。

インターネットを通じて仕事を請け負い働く「ギグワーカー」にとっても、朗報となるのだろうか。

労働問題にくわしい菅俊治弁護士は「フリーランスの社会保障の制度は十分整っていなかった。加入要件の拡大は歓迎するが、それとは別に、労働者かどうかという点は引き続き問題となってくる」と指摘する。

●働き方の実態によっては「労働者」となる

労働者であれば、使用者側が労働保険料を負担して、必ず加入することになる。一方、特別加入は、労働者以外の人のなかで入りたい人が自分の意思で選択して加入するものだ。保険料も自己負担で、保険料率も業種によって異なる。

菅弁護士は「全く保障がなかった人に選択肢ができた点では半歩前進だが、本来的な解決ではない。フリーランスの中でも、働き方の実態をきちんと見て、労働者であると認定していく作業も大事だ」と話す。

フリーランスとして仕事をしていても、契約形態にかかわらず、指揮監督を受けるなど実質的に雇用に当たるような場合は、労働基準法など労働関係法令が適用される「労働者」となる。

菅弁護士は、日本の「ウーバーイーツユニオン」に携わっているが、「ウーバーも世界的には労働者ではないかと争われていて、ウーバーと運転手の間の雇用関係を認める裁判所の判断が複数出ている」と話す。

例えば、ロンドン雇用審判所は2016年10月28日、ウーバーのタクシードライバーは独立事業者ではなく、ウーバーの従業員だとの判決を下した。また最近も、フランス最高裁(破棄院)が2020年3月4日、米ウーバーテクノロジーズとタクシードライバーに雇用関係があるとの判断を下している。

菅弁護士は「日本では労働者を一人でも雇用していれば、使用者側は労働保険に加入する必要があり、加入をおこたると罰金もあります。同様に、ウーバーイーツの配達員のような働き方についても、本来ならば行政が事業者に対して積極的に動かなければならないと思います」と行政の指導の必要性を指摘する。

「本来の労働者の権利というのは、契約書ではなく実態で判断される。今回のような制度拡充により、当然労働者ではないという誤解が広がることは心配している。現場で働く人は自分の働き方の実態をよく理解して考えてほしい」