「失業時代、解雇される時代がこれから続いてしまうかと思う。適切な対応を考える必要がある」(日本労働弁護団の水野英樹幹事長)

第2回「コロナ労働問題連絡会議」が7月27日、オンライン開催され、労働組合など約15団体が実態を報告した。

4月7日の第1回会議では、新型コロナに関する労働問題の情報共有がなされ、各労組から「5月に生きていられるかわからない」など経済的に立ち行かない切迫感が報告されていた。あれから約3カ月。危機を脱するどころか、課題は山積みだ。

●賃金不払いに加えて雇い止めが増加

4月時点の報告では、労働者からコロナ関連の相談は、賃金不払いや休業補償が多かった。労弁の水野弁護士によると、賃金不払いの相談は継続的に届いているという。加えて、最近では雇用契約の終了、雇い止めの相談も増加しているそうだ。

非正規労働者は切迫している。連合の「なんでも労働相談ホットライン」に寄せられる電話相談は、2020年1〜6月で計1万298件で、これは前年同月比で2244件増。特に、3月以降の相談者の6割強が正社員以外の非正規労働者で「弱い立場のかたへのコロナの影響がみてとれる」(連合)

一方で、雇用は維持されるものの、給料が全く支払われず、事実上、退職に追い込まれるなどの実態もあるそうだ。

●出版業界 フリーランスの弱い立場が明確に

出版・印刷・広告関連業界のフリーランスを対象にした出版ネッツによる6月のアンケート調査では、支払い遅延、仕事の延期・中止などの回答が寄せられたそうだ。

さらに、正規との間で働き方の「差」が顕在化した。「常駐フリー」で働く労働者の多くが、正社員には補助が出たテレワークに必要な通信量や機材費用を自己負担したという。ほか、「社員のかわりに出勤させられた」「社員用の消毒液はフリーの人は使えない」などの非正規差別も存在するという。

●犯罪に手を染める土壌ができかねない

相談者の8割が外国人労働者という「ユニオンみえ」には、フェイスブックなどSNSを通じた相談が3月から今日まで800件近く届いている。

「労働者の多くが働いて得た賃金を母国の家族に送金している。各国では防疫対策で外出禁止措置がとられ、身動きがとれず、生活困窮に陥っている。日本の労働者も賃金が苦しい」

仕事を切られた労働者は、家族のピンチをうけて必死に仕事を探すものの、働き先の工場はどんどん閉鎖されて仕事が見つからないという。「より短期で安価な求人に吸引されて、暴力的な労働環境や賃金不払いの労働相談が増えていくと感じる」

会議の司会を務めた労弁の棗一郎弁護士も「就職口が見つからず、下へ下へ向かう傾向がある。最悪、犯罪的な行為の仕事に手を染めることが起こっているようです」と懸念を示す。

オンライン会議の様子

●さらに寒い秋冬 大失業時代がやってくる?

「9月末や3月末の決算期の事業閉鎖、整理解雇の危機があると思っている」(全国ユニオン)など、各労組では口々に秋や冬にかけてのさらなる危機が語られた。

「東日本大震災のときは、国から各都道府県に予算を付けて、交付金を出したり、事業を作ったりして、雇用を作ることもした」(全労働)。しかし、今回のコロナの労働問題で同様の対応は困難である。

棗弁護士は「雇用創出がなく、大失業時代がくる。9月以降に、雇い止めや、コロナ切りが増えるというのは組合のみなさんの予想は一致している」と訴え、会議に参加した団体に対して、統一的に政策提言など実施していく共闘を呼びかけた。

●遅々として進まぬ労災認定

会議では、コロナを理由とした労災請求の認定事例の少なさも問題提起された。厚労省発表の「新型コロナの労災請求件数」(7月21日時点)は772件。そのうち、支給決定は195件。

東京労働安全センターでは「調査中が圧倒的に多い。民間も地方公務員の災害補償請求も46件中、認定は15件でかなり低い状況だ」とする。