人気アイドルグループ「嵐」のコンサートの電子チケットを不正に高額転売したなどとして、20代女性が「チケット不正転売禁止法」違反などの罪に問われた事件で、大阪地裁は8月27日、懲役1年6カ月(執行猶予3年)、罰金30万円、偽造身分書の没収を言い渡した。

チケット不正転売防止法は、人気アーティストのコンサートや、スポーツイベントのチケットが、高額で転売されるケースが相次いでいたことから、東京五輪・パラリンピックを見据えて、2019年6月に施行されていた。

●全国で初めて適用された

報道によると、女性は2019年6月から9月にかけて、転売が禁止された嵐のコンサートの電子チケットを会員制交流サイト(SNS)で不正転売した疑い。

大阪府警が2019年10月、全国で初めてチケット不正転売防止法を適用して、書類送検した。その後、大阪地検が今年2月、在宅起訴していたという。

こうした状況を受けて、ジャニーズ事務所は2019年10月、チケットの不正転売・不正購入をやめるようファンに呼びかけた。

●コロナ禍によって、世の中が一変している

そもそもチケット不正転売防止法では、どんな行為が禁止されているのだろうか。コロナ禍において、今後どのような事態が考えられるのだろうか。音楽コンサートのチケット転売問題に取り組んできた太田純弁護士に聞いた。

――チケット不正転売禁止法では、どんな行為が禁止されているか?

ごく簡単に言えば、券面(チケットの表面)や電子チケット上で、(1)特定の人だけが入場できること、(2)転売を禁止していることが表示されているものについて、他人に対して、定価よりも高い値段で転売する行為が禁止されています。また、不正転売を目的とした仕入れ行為も禁止されています。

今回のケースは、報道などによると、偽造の身分証を用いた点や、定価の8〜14倍程度で転売した点もあり、懲役刑(執行猶予付き)のほか、その売価相当の30万円の罰金を併科したとのことで、違法収益が手もとに残らない結果になったものと思われます。

――今回のケースをどう捉えたか?

本来、法律の主眼としては、違法収益が反社会的勢力の収入源になっているとして、不正転売目的での仕入業者(ダフ屋)を摘発することが期待されていた中、末端で不正転売をしたケースを報道で取り上げても、世間的には、あまりインパクトがないような気もします。

今回のケースは、昨年6月の法律施行後、全国初適用ということですが、在宅(書類送検)起訴ということもあって、摘発から判決まで、10カ月も時間がかかっています。

その間、コロナ禍によって、世の中が一変し、コンサート自体が中止・不開催となっていますから、そうした中にあっては、むしろ、社会の関心事は、中止等の場合の返金などの対応へとシフトしています。

――コロナ禍において、どんな対応がもとめられるか?

コンサートに行きたくてしかたがない、というファンの心理につけ込んで、「これは特別なシークレットライブだから」「あなたが特別に選ばれたから」、あるいは「コロナだから譲渡できるようになった」などとして、実体のないチケットを詐欺的に売りつけてだますような手口への対応も消費者保護として大事になってくるでしょう。

【取材協力弁護士】
太田 純(おおた・じゅん)弁護士
訴訟事件多数(著作権、知的財産権、労働、名誉棄損、医療事件等)。その他、数々のアーティストの全国ツアーに同行し、法的支援や反社会的勢力の排除に関与している。
事務所名:太田純法律事務所
事務所URL:https://www.jota-law.jp/