東京メトロ(地下鉄)の売店で働いていた非正規社員の女性4人が、売店を運営する東京メトロの子会社「メトロコマース」に対して、「同一労働・同一賃金」と損害賠償などを求めた裁判は現在、最高裁で争われている。

原告らは、品物の発注や接客など、正社員とほぼ同じ仕事内容だったとして、正社員との本給や賞与、退職金の差額などを求めてきた。

9月15日に開かれる弁論に向けて、原告らは9月4日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いた。原告の1人は「6年前から裁判を戦ってきた。非正規労働者の現状を伝え、少しでも希望の持てる判決が出るように頑張りたい」と話した。

●二審までの判決

一審判決(東京地裁)では、比較対象を全正社員とした上で、正社員は配置転換・職種転換を受けたりする可能性があり、契約社員とは事情が大きく異なるとされた。また、退職金などの格差についても、優秀な人材の獲得・定着を図る手段として、合理性を有すると判断された。

一方、二審判決(東京高裁)では、比較対象を「売店業務に従事する正社員」に限定。その上で、契約社員の原告3人に対して、当時の労働契約法20条施行後の住宅手当や勤続年数に応じた一時金(褒賞)、退職金の一部などは支払われるべきと判示した。一方で、基本給や賞与などについては、請求棄却となった。

残り1人の原告については、労契法20条が施行される前に、定年によって契約社員と異なる雇用形態となったことなどを理由にすべての請求が棄却された。

●最高裁、上告受理を決定するも…

2審判決後、原告側および会社側の双方が上告。最高裁は2020年7月28日、上告受理を決定した。

しかし、受理したのは、原告2人の退職金に関する請求部分だけで、残りの請求については全て棄却された。このため、最高裁での争点は、「退職金を原告らに支給しないことが不合理かどうか」に絞られている。

●「労働契約法20条」に基づく不合理な差といえるかどうか

ポイントとなるのは、「労働契約法20条」(改正前)だ。この規定は、正社員など無期契約で働く人と比べ、アルバイトや契約社員など有期契約で働く人に不合理な差をつけることを禁じている。

原告側は、格差の目的が「優秀な人材の獲得・定着を図る」ためであることについて、すでに別の最高裁判決で労働契約法20条の不合理性の判断要素として相当でないことが示されているとして、「時代遅れの観念にもとづく誤った判断」と厳しく批判している。

また、メトロコマースの退職金規程では、仮に64歳で正社員として入社し、勤続1年で定年退職となっても、給与0.6月分の退職金が支払われることになっていると指摘。退職金が「給与の後払い的なもの」を示すものであるとして、非正規社員に支払わないことは不合理であると主張している。

●「司法が変われば社会が変わる」

最高裁は、会社側の上告も受理しているため、弁護団によれば、二審判決では認められた退職金の一部についても「支給を認めない」と判断される可能性があり、予断を許さない状況だという。

原告らは、会見で次のように決意を語った。

「メトロコマースで10年以上正社員と同じように働いてきた。それでも、時給労働、低い賞与、退職金ゼロというのはおかしい。最高裁では、せめて退職金だけでもいい方向に進んでほしいと思う」

「正社員と同じように貢献してきたが、待遇面で分断され、人としての尊厳を奪われてしまった。『司法が変われば社会が変わる』と信じて、最高裁には自分たちの主張をわかってもらいたい」