建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんや中皮腫などになったとして、労働者や遺族ら121人が国と建材メーカー18社に約43億円を求めていた「首都圏建設アスベスト東京第2陣訴訟」の判決で、東京地裁(前澤達朗裁判長)は9月4日、国と5社に対して、13億円超の支払いを命じる判決を言い渡した。

国が事業者に対して、防じんマスクを着用させたり、アスベストの危険性を示す警告表示を出させたりすることを義務づけなかったことを違法だと判断した。

同種裁判では、いずれも国の責任が認められており、これで国の14連敗となった。また、労働基準法上の労働者ではないながら、労働安全衛生法にもとづき、国の一人親方に対する責任も認められた。

●請求が認められなかった原告も

一方で、原告121人(被災者113人)中、9人(被災者7人)については国の責任が認められず、全員勝訴となった前週の東京高裁判決(神奈川2陣)とは一部判断が別れている。

たとえば今回の判決は、解体作業に従事する一人親方については、国の責任を認めていない。完成している建物の解体について、アスベストの警告表示を行うのは困難という判断だ。

判決後の記者会見には、国やメーカーとの関係で請求が棄却された原告が出席した。

判決が示した国の責任期間である1975年10月1日〜2004年9月30日の枠から外れてしまった、元吹付工の田中更さん(77)は「もう少し視野を広げてほしかった」と嘆息した。

また、判決では建材メーカー5社の責任を認めたが、シェア20%未満の企業については責任を認めなかった。

メーカーとの関係では請求棄却となった元配管工の沼田透さん(68)、元電気工の宇田川勝利さん(82)は「生きている間に解決してほしい」と話した。

弁護団長の小野寺利孝弁護士は、「司法判断では、どうしても被災者の中で救済される人とされない人という線引きが出てくる」としたうえで、国と建材メーカーがお金を出し合う「補償基金」制度という政治的解決の必要性を訴えた。