約束の期限をすぎても、元妻が家から出ていかないーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

相談者は、元妻との離婚調停で、「子どもが中学校を卒業するまで、(自宅に)妻子で住み続けられる」という条件を受け入れ離婚。ところが、期限間近になっても元妻は出て行かず、退去を求められても拒否しているようです。

相談者は、条件について合意したことを示す書面もあるといい、強制的に退去させたいと考えています。

家から出て行ってくれない相手を退去させるためには、どのような方法があるのでしょうか。鶴岡大輔弁護士に聞きました。

●調停調書をもとに強制執行を申し立てる方法も

ーー「卒業まで住み続けられる」という合意は、法的にはどのように扱われますか

「『卒業まで住み続けられる』という合意は、元妻との間で使用貸借契約を結んだと考えるのが自然でしょう。

使用貸借というのは、賃貸借と異なり、賃料を支払わずに貸すことを言います。賃料を支払わない分、賃貸借に比べて明渡しが認められやすいという違いがあります」

ーー条件について合意したことを示す書面があるようです

「離婚調停を行っていることから、相談者のいう『条件について合意したことを示す書面』は調停調書だと思われます。

調停調書に、『子どもが中学校を卒業するまで、妻子で住み続けられる』ということだけでなく、『中学校を卒業する●年●月●日限り、退去し、明け渡す』旨まで記載されていると、明渡請求が認められることになります。

一般的には、上記の明け渡す旨の条項を入れることが多いですが、調書作成時に具体的な危険がない場合は、入れていないこともあるかと思います」

ーー明渡請求までの具体的な手続きはどのようになりますか

「もし現在の調停調書に記載がない場合は、別途民事訴訟を行い、明渡しを求めていくことになります。

記載があるのに元妻が出て行かない場合は、調停調書をもとに強制執行を申し立て、明渡しを実現していきます」

ーー今回のようなトラブルを未然に防ぐ方法はあるのでしょうか

「離婚調停時に期限守らない場合の対応を決めておく方法としては、上記の明渡す旨の条項を入れる以外にも、たとえば、『●年●月●日以後、退去しなかった場合は1日あたり●円を支払う』旨の違約金に関する条項を入れることも有効です。

違約金を課すことで心理的プレッシャーを与え、自発的な明渡しを実現する方法になります。

明け渡す旨の条項と違約金の条項の両方を入れることもできますので、相手への信用度合いに応じて、適した条項を盛り込んでいくといいと思います」

【取材協力弁護士】
鶴岡 大輔(つるおか・だいすけ)弁護士
代表を務める弁護士法人とびら法律事務所は、千葉市にて累計3000件以上の離婚相談を実施。離婚、慰謝料、親権、養育費、面会交流、子の引渡し、婚姻費用など、夫婦親子に関する問題を得意とする。
事務所名:弁護士法人とびら法律事務所
事務所URL:https://www.tobira-rikon.com