単身赴任先での不倫に関する相談は、残念ながら少なくない。単身で海外駐在している夫と不倫した現地在住の日本人女性に対して慰謝料を請求できるのかーー。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

少し前に韓国駐在を終え、帰国した夫。しかし駐在中、短期間ではあるものの、現地で知り合った日本人の女性と不倫関係になったようだ。夫は「妻とは離婚する予定だ」などと嘘をついて関係を始め、帰国を前に、関係は終わったと説明している。

夫との離婚は考えていないが、韓国にいる不倫相手の女性に対し、日本国内で慰謝料請求をしたいと思っているようだ。

不倫相手が任意に支払ってくれればいいのかもしれないが、拒否すれば裁判になることも考えられる。不倫相手が海外にいる場合でも、日本の裁判所で慰謝料を請求することはできるのだろうか。山口政貴弁護士に聞いた。

●貞操義務に国内も国外もない「不倫した時点で慰謝料発生」

――不倫相手が海外にいる場合でも、日本の裁判所で慰謝料を請求できますか。

夫婦の貞操義務、すなわち不倫をしてはいけない義務というのは、夫が海外に単身赴任中であっても免除されるものではありませんので、不倫をした時点で慰謝料支払義務が発生します。不倫相手が海外にいても同様です。

問題は日本国内の裁判所で裁判できるかどうかですが、妻が日本国内にいますので、日本の裁判所で裁判をすることは可能です。

もっとも、今回のケースでいえば、裁判の訴状は韓国にいる不倫相手の女性に送らなければなりませんので、女性の韓国の住所を調査する必要が出てくるでしょう。なお、日本の裁判所が海外にいる人を裁判に呼び出そうとする場合、一般的にはその国の日本領事館を経由して行われます。

――今回のケースで裁判となった場合、慰謝料はどのくらいになるのでしょうか。

大まかに言えば,慰謝料の額は50〜200万円程度となる場合が多いのですが,その範囲内でも様々な事情により額が変わってきます。主に下記のような事情等から総合的に判断されます。

・不倫によって離婚したか、しないか
・夫が既婚者であることを不倫相手が知っていたか、知らなかったか
・不倫相手側から誘ったか、夫側から誘ったか
・不倫期間が長かったか、短かったか

いずれも、前者のほうが慰謝料額は高くなる要素であり、後者のほうが慰謝料額が低くなる要素です。

今回のケースは少なくとも離婚はしていないようですので、他の事情次第ではありますが、そこまで慰謝料は高額にはならず、100万円前後で認められる可能性が高いのではないでしょうか。

【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/index.html