インターネット上にある海賊版アダルトビデオ(AV)の情報をまとめて、利用者を誘導したとして、いわゆる「リーチサイト」を運営していた40代男性2人が11月18日、著作権法違反などの疑いで京都府警に逮捕された。

府警よると、2人は今年10月、管理・運営するウェブサイト「俺の嫁チャンネル」で、海賊版であることを知りながら、ネット上で公開されたAV3作品の動画ファイルの情報をまとめて、利用者を誘導した疑いがある。

また、2人は共謀のうえ、昨年11月、AV出演者の顔をすげかえた動画ファイル(フェイクポルノ)を同サイトで公開した名誉毀損の疑いもある。

リーチサイト規制が盛り込まれた改正著作権法が今年10月に施行されて、リーチサイトの運営者が摘発されるのは全国で初めてということだ。今回の摘発について、著作権にくわしい福井健策弁護士に聞いた。

●運営者などに刑事罰や民事上の損害賠償責任などを負わせている

――そもそも「リーチサイト」はどんな規制がされているのか?

リーチサイトまたはリーチアプリとは、典型的には、海賊版のマンガやアニメのファイルへの「リンク集」を言います。

ことし10月から施行された改正著作権法では、リーチサイト(リーチアプリ)を「公衆を侵害コンテンツに殊更に誘導する」または「主に公衆による侵害コンテンツの利用に用いられる」サイト・アプリと定義して、その運営者やリンク提供者に対して、刑事罰や民事上の損害賠償責任などを負わせています。

本来、リンクとは、相手先のアドレスを教えるだけの行為です。これまでは著作権侵害にあたらないと考えられてきましたが、海賊版被害の高まりから、悪質なサイトなどへの誘導行為に限って規制が導入されました。

ただ、正当な利用が委縮しないよう、刑事罰は故意犯に限り、また被害者の告訴がないと起訴・処罰できない「親告罪」とするなど、手当てがされています。

――海賊版対策としてどれくらい効果があるか?

現在、悪質な海賊版ファイルの多くは、責任追及の難しい海外のサーバーに、徹底的に身元を隠した運営グループによってアップロードされているケースが多く、責任追及は時に非常に困難です。

リーチサイト(リーチアプリ)は、そうしたファイルへの確信犯的なリンク集ですが、昨年末には海賊版サイトのアクセス上位10サイトのうち7サイトまでがリーチサイト型だったというデータもあります。リーチサイト等は、海賊版のまん延に大きな役割を果たしているといえます。

また、「誘導のためのゲートウェイ」という性質上、日本語での運営に長けた国内グループの主導と疑われるものも多く、取り組みには一定の効果は期待できるでしょう。

――漫画・アニメを含めて、海賊版対策は今後の進展どうなる?

海賊版は、2018年の「漫画村」が大きな話題と論争を巻き起こして以来、出版界とIT業界との協力関係が飛躍的に進み、民間でできる対策を尽くすことで、どうにか増加を抑え込んできました。

しかし実は、今年になってから、漫画の海賊版サイトへのアクセスの増加には再び歯止めがかからなくなっています。閉鎖や摘発も続いていますが、海賊版側がいわば巧妙化したことでそれ以上のペースで増大が進み、直近では上位10海賊版サイトのアクセス数合計は月間1億5000万を超えています。

もはや海外の政府やIT事業者、プラットフォームを巻き込んだ封じ込めを図らないといけない状況で、現在はその努力も進んでいます。海賊版対策にとっては、最大の正念場と言えるでしょう。

【取材協力弁護士】
福井 健策(ふくい・けんさく)弁護士
弁護士・ニューヨーク州弁護士。日本大学芸術学部・神戸大学大学院 客員教授。専門はエンタテインメント法。「18歳の著作権入門」(ちくま新書)、「誰が『知』を独占するのか」(集英社新書)、など知的財産権・コンテンツビジネスに関する著書多数。「改訂版 著作権とは何か」(集英社新書)、「インターネットビジネスの著作権とルール(第2版)」(編著・CRIC)を3月刊行。Twitter:@fukuikensaku
事務所名:骨董通り法律事務所
事務所URL:http://www.kottolaw.com