「妻が結婚当初から援助交際をしていることが分かりました。離婚する場合、妻と貯金を分けないといけないのでしょうか」。弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられている。

相談者によると、夫婦は結婚して4年になる。子どもはおらず、妻は専業主婦だという。

ところがある日、相談者は妻の「裏の顔」を知った。妻は結婚当初から月に2回ほど肉体関係を持つ男性と会っており、その対価として相手から数万円を受け取っていたという。相手男性には「独身」と偽って会っていたようだ。

また、妻が普段はずっとゴロゴロしていて、洋服や化粧品などを買い漁っていることも分かったという。

相談者は妻と離婚することも視野に入れている。しかし、心配なのが財産分与だ。結婚後に相談者がコツコツ積み立ててきた貯金もあるが、妻に渡すことに抵抗があるという。

もし離婚することになった場合、相談者は貯金の半額を妻に渡さなければならないのだろうか。長瀬佑志弁護士に聞いた。

●財産分与の実務、原則は「2分の1ルール」?

ーーもし離婚することになり、財産分与をおこなう場合、相談者はかならず積み立ててきた貯金の半額を妻に渡さなければならないのでしょうか。

財産分与とは、夫婦が離婚した場合に、その一方が、婚姻中に形成した財産を清算するため、その分与を求めることをいいます(民法768条1項、771条)。

財産分与は、分与の割合が争点となることが少なくありません。しかし、実務では「2分の1ルール」と呼ばれるように、原則として夫婦の共有財産は半分ずつ分与すると解される傾向にあります。

財産分与には(1)清算的財産分与、(2)扶養的財産分与、(3)慰謝料的財産分与の3つの要素があると解されます。(1)清算的財産分与については、妻側の有責性を考慮する余地はないと解されることから、原則として夫は妻に対して半額の預貯金を渡さなければならないようにも思われます。

しかし、今回のケースでは、妻が別の男性と継続的な肉体関係を有していたというだけでなく、普段はずっとゴロゴロしていて、洋服や化粧品などを買い漁っているということから、預貯金を浪費していることが考えられます。

このように、妻が浪費によって夫婦の共有財産を減少させたのであれば、その分は財産分与において考慮し、妻に財産分与として渡す預貯金を2分の1以下として調整することが考えられるでしょう。

●妻に対する慰謝料請求もできる

ーー財産分与の割合を修正する以外に、夫である相談者側にできることはありますか。

財産分与の割合を修正するだけでなく、夫側としては、妻に対し、別の男性との肉体関係を有していたことに対する慰謝料請求をすることが考えられます。

夫の妻に対する慰謝料請求と、妻の夫に対する財産分与請求を相殺することができるかどうかという点が問題となりますが、夫が妻に対する慰謝料請求権を自働債権として相殺を主張することは可能と解されます(東京家審昭46年1月21日)。

【取材協力弁護士】
長瀬 佑志(ながせ・ゆうし)弁護士
弁護士法人「長瀬総合法律事務所」代表社員弁護士(茨城県弁護士会所属)。多数の企業の顧問に就任し、会社法関係、法人設立、労働問題、債権回収等、企業法務案件を担当するほか、交通事故、離婚問題等の個人法務を扱っている。著書『企業法務のための初動対応の実務』(共著)、『若手弁護士のための初動対応の実務』(単著)、『若手弁護士のための民事弁護 初動対応の実務』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が書いた契約実務ハンドブック』(共著)、『現役法務と顧問弁護士が実践している ビジネス契約書の読み方・書き方・直し方』(共著)、『コンプライアンス実務ハンドブック』(共著)ほか
事務所名:弁護士法人長瀬総合法律事務所
事務所URL:https://nagasesogo.com