パートナーの不倫が発覚したら、どうしますか。離婚へと突き進む人もいますが、「許したわけではないけれど、やり直すことにした」と再構築する人もいます。

ただ、不倫が「一瞬の気の迷い」ではなく「本気の恋」になっていた場合、相手から「離婚してほしい」と言われてしまうこともあるようです。

夫が職場で派遣社員と不倫しているという女性は、「私は毎日苦しくて精神安定剤まで飲むようになった」と弁護士ドットコムに相談を寄せています。夫は不倫を認め、バレた後も不倫相手と毎日連絡を取り続けています。

女性は「夫は不倫相手に本気になって、彼女を守ろうとしています。私となんとか別れる方法はないかと考えているようです」と話し、夫を引き止めたいといいます。

不倫した上に、離婚請求。何とも身勝手な話ですが、「不倫をした側」からの離婚請求は認められるのでしょうか。須見健矢弁護士に聞きました。

●「有責配偶者」からの離婚請求は原則として認められない

——不倫にはまってしまい、離婚を求める人は少なくないようです。離婚を求めることはできるのですか

不貞などを行い、婚姻関係を破綻させた側(有責配偶者といいます)が、自ら離婚を請求することは、信義誠実の原則に反し、権利の濫用にあたります。

原則として有責配偶者からの離婚請求は認められません。今回のケースはまさに身勝手な話で、裁判をしても離婚は認められないでしょう。

しかし、過去には有責配偶者からの離婚請求を認めた判例もあります。昭和62年9月1日の最高裁判決は、それまでの有責配偶者からの離婚請求を認めないという原則を変更し、次のような状況にあれば認めると示したのです。

(1)年齢及び同居期間と対比して相当の長期間夫婦が別居している (2)夫婦間に未成熟子がいない (3)相手方が、離婚によって精神的・社会的・経済的に過酷な状況におかれるなど、離婚請求を認めることが著しく社会正義に反すると言えるような特段の事情がない

さらに、平成6年2月8日の最高裁判決では、夫婦間に未成熟子がいる場合にも、そのことだけをもって離婚請求を排斥すべきではなく、信義誠実の原則に照らしても、なお容認されるか、諸事情を総合的に考慮して判断すべきとしました。

あくまでも例外的ですが、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合があるということです。

●別居期間の判断はケースバイケース

——これらの裁判例から、どんなことが言えますか

別居が長ければそれだけ婚姻関係が形骸化し修復が困難になること、そして子どもが小さいほど物心両面で両親が必要ということでしょう。

ちなみに、別居期間については、具体的に何年間別居すれば「相当の長期間の別居」といえるかは個別のケースによるので何とも言えません。

相手方が経済的に過酷な状況におかれることがないか、慰謝料や財産分与、養育費などの内容と、それらのお金が確実に支払われる見込みがあるかも考慮されます。

例えば、有責配偶者から「高額の慰謝料を一括で支払うとの申し出があった」などの場合は、離婚が認められる可能性があるでしょう。ただ、有責配偶者から離婚を請求する場合は、相応の支払いを覚悟した方がよいと思います。

(弁護士ドットコムライフ)

【取材協力弁護士】
須見 健矢(すみ・たけし)弁護士
2000年4月弁護士登録(東京弁護士会)。個人や企業間の契約や各種損害賠償等の一般民事事件、離婚や相続等の家事事件、刑事事件など幅広い分野で事件解決に取り組んでいる。
事務所名:西葛西スター総合法律事務所
事務所URL:http://nishikasai-lo.com/