「夫の浮気で離婚が決まりました。財産分与について話し合っているのですが、結婚後に作った『へそくり』も共有財産になってしまうのでしょうか」。弁護士ドットコムに、主婦をしている女性からこのような相談が寄せられています。

相談者によると、へそくりは、20数年の結婚で100万円まで貯まっており、「長年、欲しいものも買わず、コツコツと貯めたお金」だといいます。相談者としては、浮気した夫に何も言わず「持ち逃げしたい」と考えているそうです。

このように、結婚後に貯めたへそくりを持ち逃げすることに、法的な問題はないのでしょうか。原口未緒弁護士の解説をお届けします。

●本ケースでは、へそくりは夫婦の「共有財産」となる

ーーそもそも、「財産分与」とはどのような意味でしょうか。

財産分与とは、婚姻中に夫婦で協力して得た財産を、離婚する際に分け合うことです。

夫婦の財産は、主に「特有財産」と「共有財産」に分けられます。「特有財産」とは、婚姻前から持っていた財産や、親などからの遺産分割で得た財産などです。これらは個人のものとされ、財産分与の対象にはなりません。

いっぽう、「共有財産」は、婚姻期間中に、夫婦で協力して得た財産です。具体的には、夫婦双方の名義の口座に入っている預貯金や、夫婦で協力して建てたマイホーム、車などが該当します。

また、婚姻期間中に、夫もしくは妻が働いて得た給料から個人的にした貯金についても、夫婦の共有財産です。

したがって、今回問題になっているへそくりも、夫婦の共有財産となります。

ーー「共有財産」ならば、持ち逃げすることは許されないのではないでしょうか。

たしかに、そう思いますよね。でも、共有財産は、夫のものでもあり妻のものでもある。つまり、夫婦双方が「共有者」です。へそくりの共有者の一人である妻が勝手に持ち逃げして使ってしまっても、問題ありません。

ただ、厳密に言うと、「後できちんと清算をするので、持ち逃げをしても問題がない」ということになります。

●へそくりを持ち逃げしても問題ないが、後で清算が必要

ーー財産分与をする際は、共有財産はどのように分けるのでしょうか。

財産分与は、夫婦の共有財産を2分の1ずつ分けるのが原則です。へそくりを持ち逃げした人のほうが、2分の1の金額よりも多く持ち出していた場合には、その差額分を返さなければなりません。へそくりを持ち逃げしても問題ないですが、後でその分をきちんと清算しましょう、ということです。

ただ実際は、必ずしも清算がおこなわれているわけではないようです。

今回の話は、相手がへそくりを発見するなどして、その存在を知っている場合を想定しています。現実には、へそくりを持っている方が最後までその存在を明かさず、持ち逃げしてしまうことが少なくないようですね。

(弁護士ドットコムライフ)

【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com