元姑に「お墓を守ってほしいから、孫を養子にしたい」と求められていますーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられています。

相談者は14歳と10歳の子ども(男の子)がいるシングルマザー。夫とは2年ほど前に離婚し、苗字も旧姓に戻しました。

ところが最近、元夫が病死したと元姑(80代)から連絡を受け、10歳の息子を「自分の養子にしたい」としつこく打診されるようになりました。理由は「お墓を守るため」だそうです。

相談者は「お墓を守るためだけに、子どもを養子になんてしたくありません。元姑が勝手に養子縁組をしないか心配です」と綴っています。

元姑が養子縁組をしてしまう可能性はありうるのでしょうか。佐田理恵弁護士の解説をお届けします。

●15歳未満の子どもは、親の許諾がないと養子縁組を結べない

ーー元姑が相談者に無断で子どもと養子縁組を結ぶことはできるのでしょうか。

結論からいうと、できません。

養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」という2つの制度があるのですが、今回は、普通養子縁組に絞って説明します。

通常、未成年者を養子とする場合に、家庭裁判所の許可が必要となります。ただし、自己または配偶者の「直系卑属(ひぞく)」である場合には、家庭裁判所の許可は不要です。今回のケースでも、元姑から見て、相談者の子どもは孫であり、「直系卑属」となりますので、家庭裁判所の許可は不要です。

しかし、15歳未満の子どもと養子縁組を結ぶ場合、子どもの法定代理人(今回のケースでは母親)が代わりに承諾する(代諾)必要があります。

そのため、元姑が、母親に無断で相談者の息子と養子縁組を結ぶことはできません。

ーー万が一、書類の偽造などにより、養子縁組の届出をされ、受理されてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

このような場合は縁組の意思がないのですから、無効です。これを正すためには養子縁組無効確認の調停申立や訴訟提起をすることとなります。

ただし、養子が15歳になってから養親に対して追認をしたときはさかのぼって有効となります。

あらかじめ、養子縁組の不受理申出書を役所に出しておくことも可能ですので、この方法が一番有効ではないかと思います。

●養子縁組の成立要件と効果は?

ーー普通養子縁組はどのような場合に成立するのでしょうか。

成立要件は、以下のようになります。

【普通養子縁組の成立要件】
・当事者双方に、養子縁組を結ぶ意思があること
・養親が成年に達していること
・養子が、養親の尊属又は年長者でないこと
・後見人が被後見人を養子とする場合には、家庭裁判所の許可が必要
・配偶者のある者が、未成年者を養子とするには、配偶者とともにすること(例外あり)
・配偶者のある者が養子縁組をするときには配偶者の同意が必要(例外あり)
・15歳未満の者を養子にする場合には、その法定代理人が代諾する。養子となる者の父母で監護者がいる場合や、親権停止されている者がいる場合、その同意も必要
・未成年者を養子とする場合に、家庭裁判所の許可が必要(ただし、未成年者が自己又は配偶者の直系卑属の場合は不要)
・届出

養子縁組を結ぶと、その日から、養親の嫡出子の身分を取得します。そのため、養子と養親はお互いに相続権を有し、また、相互扶助・扶養義務を負うことになります。さらに、養親の氏(姓)を称するのが原則となります。

(弁護士ドットコムライフ)

【取材協力弁護士】
佐田 理恵(さだ・りえ)弁護士
2007年弁護士登録。第二東京弁護士会所属。離婚・相続・子どもの問題などを多く扱っている。
事務所名:アストレア法律事務所
事務所URL:http://www.astraea-law.jp/