わたしたちの生活を大きく変えた新型コロナウイルスですが、不倫カップルはこの最中も変わらず逢瀬を重ねているようです。弁護士ドットコムには、不倫を繰り返す夫に苦慮する妻からの相談がありました。

夫は同じ女性との不倫を2回も繰り返しており、現在別居して3年ほどが経ちます。夫はこれまで妻に計300万円もの慰謝料を支払いましたが、それでも懲りないのか関係を切っていない様子です。

女性が探偵に依頼した結果、夫の家に時おり宿泊する女性がいることが分かりました。しかし、帽子にマスク姿のため、肝心の写真に不倫相手の顔が全く映っていないというのです。

その後も探偵は何日か張り込みしましたが、「このご時世で常にマスクはしているし、いつも帽子も被っていて顔を写す事ができない」と言われてしまいました。

不倫の証拠にするためには、どのような写真である必要があるのでしょうか。光安理絵弁護士に聞いた。

●証拠で多いのはLINEのやり取り

——光安弁護士が担当した事案では、不倫の証拠としてどのようなものを提出したことがありますか

ここ数年多いのはLINEのやり取りの画面画像やテキストデータです。単なる雑談のLINEではなくて、肉体関係を持ったと推認させる会話が入っていることが必要です。探偵の調査報告書を出すことももちろんあります。

そのほか、個々の証拠としての力は弱いですが、避妊具の袋がゴミ箱に捨てられていた様子の写真や、ホテルに2名で宿泊している領収書そのもの、あるいはその領収書の画像を出すこともあります。

●顔写真は?

——相談者は家に入る女性の写真を撮りたいようです。顔がはっきり写っていないと、証拠として認められないのでしょうか。

相談者が、誰に対して、不貞の慰謝料請求をするのかによります。

相手女性に対し慰謝料請求したいのであれば、まさに相手女性が夫の家に宿泊している、ということを証明しなければなりません。よって、相手女性の顔が写っている必要があります。顔が写っていないとこれまで不貞していた相手と同じ相手なのか、違う相手なのかも分かりません。

一方で、夫に対して慰謝料請求をしたい、離婚請求をしたい、ということであれば、相手女性が誰であれ、夫が不貞をしている、ということが証明できればよいので、相手女性の顔が写っていなくとも構いません。

もちろん、写っていれば、同じ相手と長期間不貞関係を継続していることが証明されますし、違う相手だとすれば、夫が別の相手とも不貞関係を持っていることが証明されますので、事実がより正確に分かります。

——女性は慰謝料請求をできるのでしょうか

この事案では、別居してすでに3年経過しているとのことです。もともとの同居期間が短い場合は、別居期間が相対的に長期であると認定され、夫婦関係が破綻していると扱われることがあります。

夫婦関係がすでに破綻している既婚男性と、第三者の女性が肉体関係を持っても、違法な不貞行為にはならないとされています。もっとも、男性から夫婦仲が悪いと聞いていた、くらいでは、違法性はなくなりませんが。

そのため、今回の相手女性が、これまで夫が交際していた女性とは別の新しい女性であった場合には、新しい相手女性との関係は違法な「不貞」には該当せず、相手女性に対し慰謝料を請求することが難しい場合もあります。

また、今までと同じ女性との逢瀬を継続しているとしても、すでに300万円の慰謝料が払われています。現在の裁判所の相場からすると、低額とまでは言えないので、追加の慰謝料を夫や相手女性に請求しても、認められないこともあります。

まずは、専門家である弁護士に相談するのが良いでしょう。

【取材協力弁護士】
光安 理絵(みつやす・りえ)弁護士
大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、司法研修所を経て、東京地方検察庁、横浜地方検察庁において検察官として捜査・公判活動を行う。2007年に検察庁を退官し、仙台弁護士会に弁護士登録。現在、弁護士4名を擁するソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。
事務所名:ソレイユ総合法律事務所
事務所URL:http://www.sendai-soleil.net/