不倫した自分が悪いとはいえ、厳しすぎる社長の仕打ちにも法的な問題はないのかーー。弁護士ドットコムに、社内でダブル不倫していた男性から相談が寄せられた。

相談者は、社内の既婚女性と不倫していたが、ある日、会社にバレてしまったという。社長は「証拠写真が手元にある。後日、家族の方を交えて話しましょう」と言い、社内不倫を理由に懲戒解雇を言い渡したという。

相談者は、妻や家族に写真を見せるのではないかと不安を抱えている。社長は実際に、相談者の不倫相手の女性と、その母親に写真を見せたのだという。

相談者は、女性の母親にまで写真を見せる必要があったのかと疑問を感じている。社長が不倫相手の母親に写真を見せる行為は法的に問題ないのだろうか。鈴木淳也弁護士に聞いた。

●「不法行為」にあたる可能性も…

ーー社長が社内不倫の証拠写真を第三者に見せることは、法的に問題ないのでしょうか。

人の社会的評価を低下させるような事実を示す行為は名誉毀損となり、民事上は不法行為(民法709条)にあたります。また、一般人を基準にして公開を欲しないであろう私生活上の事項を公開する行為は、プライバシー権の侵害となり、こちらも不法行為となります。

不倫の写真というのがどのようなものか分かりませんが、不倫を裏付けるような写真であり第三者に見せる際に不倫をしている旨を告げるのであれば、その第三者は不倫の事実を認識することになります。そうなると、不倫していた者の社会的評価を下げることになりますので、名誉毀損にあたることになります。

また、プライバシー権を侵害するものとして、不法行為が成立する可能性もあります。

実際、裁判でも、不倫された配偶者が不倫相手の親に宛てて、娘が不倫をしている旨を記載した手紙を送った事案において、そのような手紙を送る行為は、名誉毀損、プライバシー権の侵害となる不法行為である旨の判断がなされています。

●損害賠償請求はできる?

ーー相談者は、社長に対してこのような行為をやめてほしいと考えています。社長に対し、なんらかの請求をすることはできるでしょうか。

名誉毀損やプライバシー権の侵害となる場合には、損害賠償義務が生じます。

したがって、今回のケースでも、名誉毀損やプライバシー権の侵害にあたると判断されれば、社長に対して損害賠償請求ができます。また、違法行為であることから、第三者への公開を止めるように警告していくことになります。

民事だけでなく、名誉毀損罪で刑事事件化する可能性もありますので、弁護士に内容証明郵便にて警告書を送ってもらうのがいいでしょう。

また、今回のケースとは状況が違いますが、不倫されて憤った配偶者が不倫相手に対して職場等に公表すると半ば脅してくるようなケースが多々あります。このような場合も同様に弁護士に早急に依頼して対応してもらう方がいいです。

【取材協力弁護士】
鈴木 淳也(すずき・じゅんや)弁護士
第一東京弁護士会所属。大学時代は理学部に所属し、地球温暖化システムについての研究をしていた。しかし、多くの人と触れ合い、広く社会の役に立てる仕事に就きたいと考え、決まっていた就職を辞退し、司法試験を目指すことに。気象予報士の資格を持つ理系弁護士として、民事・刑事を問わず困っている人に寄り添う弁護活動を行う傍ら、お天気情報をブログで発信している。
事務所名:鈴木淳也総合法律事務所
事務所URL:https://law-sj.com/