新型コロナウイルスの感染拡大は、離婚後、子どもと離れて暮らす親とが会う「面会交流」にも大きな影響を与えています。弁護士ドットコムには、面会交流をめぐり、複数の相談が寄せられています。

監護する側(子どもと暮らす側)の親は「緊急事態宣言で外出を自粛する中、公共交通機関を使うような外出をさせていいものか心配」と心配し、離れて暮らす親からは「ウイルスをうつしてしまわないかという不安もあるが、会わせたくないという相手側の言い訳なのではないかと疑う気持ちもある」といった声が並びます。

当事者の声、弁護士による解説をまとめました。

●持病のある高齢親と同居「電話やオンラインでもいい?」

「コロナ禍の中で面会交流に応じるのは、戸惑いがある」と相談を寄せた人は、数年前に調停離婚し、元夫とは約束通り、月1回度の面会交流を続けてきました。そして昨年3月、新型コロナウィルスの感染拡大によって学校は休校となり、ほとんど外出しない生活となりました。

勤務先からも「不要不出な外出は避けるよう」という注意があり、仕事はテレワークになりました。また同居する高齢の家族が持病を有しています。

そのため「コロナ禍を理由に挙げて面会交流を断るのは、可能でしょうか。直接と会わず、電話やオンライン通話での交流を提案しても良いものでしょうか」と質問しています。

●面会拒否は「コロナだけが理由なのか?」

一方で、離れて暮らす側の親は「コロナを理由に面会を断られているが、本当にそれだけが理由なのか」と相談を寄せました。

相談者は3年前に調停離婚し、小学生の一人息子の親権は元夫が持っているそうです。元夫は以前から面会交流に消極的でしたが、昨年2月以降は、コロナを理由に月2回の面会交流を中止すると伝えてきたそうです。

この相談者は、「履行勧告や間接強制、再度調停などの手段の中で、どのような段取りと方法がベストなのでしょうか」と質問を寄せました。

●コロナ禍の面会交流、3つのポイント

離婚や子どもの養育に詳しい木下貴子弁護士は、「コロナ禍の面会交流の問題は、(1)面会交流の性質、(2)制限する理由の有無、(3)代替手段の検討、の3点を考慮すると良い」と言います。以下、木下弁護士の解説です。

「1つ目に考慮したいのは、面会交流の性質です。面会交流は『子どもの利益を最も優先』し、子どもの精神面を支える大事なもの、とされます。

2つ目は、性質を踏まえた上で、制限できる理由があるか?の検討です。

コロナの場合、制限される理由として、感染による子どもの安全という利益が害される可能性、身内の家族や職場での感染防止のための制限が考えられます。

面会交流はとても大切なものですが、法務省でも示されているように、子ども自身や他の方の命や健康を守るためという理由であれば、制限されることはやむを得ない場合もあるでしょう。

3つ目は、代替手段の検討です。直接の面会が難しい場合には、その理由を具体的に伝えて、電話やオンライン通話での間接交流を提案しても良いでしょう。

また、直接交流であっても、屋外で短時間、マスク着用などのルールを決めた上で面会交流を実施しているケースもあります。

調整が難しい場合には、履行勧告や間接強制、再度調停もあり得ます。事案により、適切な手段は異なりますが、今まで通りの面会交流が実施困難な状況であれば、再調停、審判で調整をすることになるでしょう」

【取材協力弁護士】
木下 貴子(きのした・たかこ)弁護士
離婚・親権・養育費の分野で1000件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに2万人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」「離婚回避・夫婦関係修復につなげる話し方の技術」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。
事務所名:多治見ききょう法律事務所
事務所URL:https://tajimi-law.com