アイドルグループ「モーニング娘。'21」のリーダー・譜久村聖さんが4月16日、ブログを更新し、ネット上の噂について「事実無根」と否定した。

所属事務所の「アップフロントプロモーション」も同日、「ファンと個人的なやり取りをしていたことはなく、弊社が特別な便宜をはかったこともありません」と否定。そうした噂を流した該当者に対しては、ファンクラブの会員規約に反するとして退会を通達するとした。

譜久村さんも「個人的に会ったり連絡するといったことは一切ありません」とした上で、「この様な文章を書くことによっての恐怖心も強くあり、息をするのが苦しくなります。生活面での支障も出ています」と打ち明けた。

事務所は「事実に基づかない憶測や噂を流布する行為やメンバーに対しての誹謗中傷に関しては、場合によっては法的措置も辞さない体制で臨んでいきます」と表明しているが、今回のような行為はどのような法的問題になるのだろうか。河西邦剛弁護士に聞いた。

●偽計業務妨害罪や名誉毀損罪にあたる可能性

今回の件は、事実に基づかない憶測や噂を流布する行為と、それに端を発する匿名掲示板で行われた誹謗中傷という2つの問題があります。

まず、一般論として、事実に基づかない内容の書き込みを行いアイドル活動を妨害すれば、偽計業務妨害罪や名誉毀損罪にあたる可能性があります。

動機としてはアイドル活動の妨害ではなく、もしかしたらファン側の自己顕示欲の誇示であったり優越感を得ることだったりしたのかもしれません。

しかし、誰もが閲覧できるネット上に書込みをすれば、ファン界隈で自身の書込みが拡散される可能性は認識できるわけで、書き込んだ本人がアイドル活動の妨害を目的とはしていないと弁解しても、業務妨害罪に問われる可能性を否定することはできません。

自分しか見ることのない日記に妄想をつづるのと、全世界に公開されているネットに虚偽情報を書き込むのとではその行為の法的性質が全く異なります。

●噂をもとに誹謗中傷被害も

そして、今回はそれに続き匿名掲示板での誹謗中傷もなされています。人格否定や社会的評価を下げる内容になっていれば、名誉毀損罪や侮辱罪に問われる可能性があります。

中には「アイドルなんだから仕方がない」など、いわゆる「有名税」理論を主張する人もいますが、これはプライバシー権が問題になった過去の裁判例でも否定されており、アイドルだから誹謗中傷を甘受すべきというのは法的に的外れです。

匿名掲示板であっても、発信者情報開示請求をすることでIPアドレスを特定し書き込んだ人物を特定することは可能です。また、警察に被害申告をすることで、捜査を通じて書き込んだ人物を特定するという方法もあります。実際に近年、誹謗中傷で立件されるケースが後を絶ちません。

匿名掲示板やSNSの匿名アカウントで発信するにあたっては、一線を越えないためにも「自分の言葉として発信しているのだ」という認識を常にもつことが重要だと思います。

【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。アイドルグループ『RERAISE(リレイズ)』のプロデューサー。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/