コロナ禍によって、シフト制で働く労働者の課題が浮き彫りになったとして、飲食店従業員らでつくる労働組合が、休業手当の適用拡大や最低シフト保障などを求めている。5月6日、厚労省に要請書を提出した。

要請書は、首都圏青年ユニオン、首都圏学生ユニオン、飲食店ユニオンの連名。各組合に寄せられた労働相談を分析したうえでまとめた。

首都圏青年ユニオン執行委員長の原田仁希さんは、「シフト制労働では現状、シフトが確定していない期間については休業手当が払われないことが多い」と問題点を指摘した。

●「厚労省の見解」が壁に

コロナ禍による企業活動の縮小で、労働者が休業を余儀なくされるケースがある。

会社都合での休業については、労働基準法26条で平均賃金の6割以上の休業手当を支払うよう義務づけられており、国も企業の休業手当などを助成する「雇用調整助成金(雇調金)」の範囲を広げるなどして対応している。

しかし、シフト制労働者の場合、シフトが未確定の期間については、休業手当の支払い義務を認めるのは困難というのが厚労省の見解だ。

そのため休業手当が一定期間しか出なかったり、そもそも企業都合の休業ではないとして、皆無だったりすることがある。

●雇調金を拒否する企業、支払い実績をつくりたくない?

実際に喫茶店アルバイトの組合員は次のように語る。

「店が入っていた商業施設が2020年4月に全館閉鎖となり、店舗も5月末まで休業になった。シフトが確定していた数日分について、6割の休業手当は出たが、5月分は一切支払われなかった。雇調金を使ってと求めても、施設が閉まったので、会社の責任ではないと言われた」

原田さんは、「企業は休業手当の範囲が広がると将来的に困るので、雇調金であっても支払ったという実績をつくりたくないのでは」と推測する。

この組合員の職場では、正社員には100%の休業手当が払われていたといい、正社員とアルバイト(非正規雇用)の格差も存在していたそうだ。

また、シフト制の労働者はもともとの労働時間や収入が少なく、シフトが減れば、雇用保険などの社会保険の加入基準から外れてしまう恐れなどもある。

仮に収入減を理由に退職した場合、正社員であれば、賃金が85%未満になったときは通常、「会社都合」と判断されるが、シフト制労働者には適用されないため、「自己都合」となり、失業給付をすぐに受けられない問題も生じうるという。

●未確定のシフト分も休業手当を

原田さんたちは、シフト制労働者の失業手当について、厚労省の解釈を変更し、実態などに合わせて、支払うようにすべきだと主張する。

企業にとっては負担が増える可能性もあるが、たとえば、企業が業界内でお金を出しあったり、国が負担したりする形で、労働者の所得補償をする方法も考えられるとしている。

また、使用者が気に食わない労働者のシフトを削り、退職に追い込むことはコロナ禍以前からあったとして、たとえば、試験前の学生が休みづらくなるといった弊害を防ぎつつ、「最低シフト保障」の導入も検討すべきとしている。