「元不倫相手の妻から年賀状が届いて迷惑している」という相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の女性Aさんは、以前ダブル不倫をしていました。あるときお互いの配偶者にバレてしまい、現在は示談が成立しています。

しかし、示談後、以前不倫していた相手の妻から年賀状などの手紙が届くようになりました。内容は「お元気ですか?その後いかがお過ごしですか?ご都合があえばぜひランチに行きましょう」といったものです。

相手の妻は不倫が発覚したとき、Aさんと2人だけで話をしたがっていました。Aさんは「恐らくまだ2人で話すことを諦めてないのかなと思います。何を話したいのか知りませんし意図がわかりません」と戸惑っています。

さらに、示談書では「相手方を訪問すること、当事者のいずれかを誹謗中傷すること、その他相手方に不利益となる一切の行為を行ってはならない」と取り決めているため、Aさんは示談書に違反しているとして慰謝料を請求できないかと考えています。

果たしてこうした行為について、慰謝料や違約金を請求することはできるのでしょうか。山岸陽平弁護士に聞きました。

●その手紙は嫌がらせか?

——慰謝料や違約金を請求することはできますか?

慰謝料や違約金を請求できるかを考えるに当たっては、元不倫相手の妻の行為が示談書の取り決めに違反しているのか、また、仮に示談書には違反していなくても不法行為と言えるのかが問題となります。

——では、今回の手紙は示談書に違反していますか?

示談書で特定して禁止されたのは、相手方への訪問、当事者のいずれかへの誹謗中傷です。今回の元不倫相手の妻の行為はそのいずれでもありません。そのため、相手方に不利益となる行為にあたるかどうかを考える必要があります。

相手方に不利益となる行為にあたるかどうかを考えるにあたって、今回の手紙の内容自体がごく穏当な内容であることが重要な点になります。

というのは、通常は内容自体からその手紙が嫌がらせであるかどうかを判断することになるからです。

要するに、手紙が穏当な内容であれば、本当は嫌がらせだとしても、嫌がらせではない可能性を排除できず、精神的にダメージを与えることを意図して繰り返しているのかどうかを証明しにくいからです。

——穏当な内容であれば、こちらは嫌だと思っていても対処できないのでしょうか。

そこで、このようなケースでは、内容証明郵便などで、そのような手紙は不要であるという意思を示し、それ以降に手紙が送られてきた場合には受け手の意思に反した嫌がらせの送付であるということをはっきりさせる必要があります。

その上で、まだ送付が続くのであれば、示談書の条項違反であり、なおかつ不法行為にあたる可能性が非常に高くなります。

なお、面会を要求する手紙に、面会しなければ何らかの形で害を加えると書かれていれば、強要罪にあたりますから、そこまでエスカレートしたときには、警察と相談しながら対応すべきでしょう。

【取材協力弁護士】
山岸 陽平(やまぎし・ようへい)弁護士
金沢弁護士会所属。2020年度金沢弁護士会副会長。富山県出身。京都大学法学部卒・京都大学法科大学院修了。地元石川県を中心として、相続、離婚、中小企業法務、インターネット関係のトラブルなど、身近な法律問題に粘り強く取り組んでいる。
事務所名:金沢法律事務所
事務所URL:https://www.bengokanazawa.jp/