同性同士の結婚が認められないのは違憲だとして、心と体の性が異なるトランスジェンダーなど、性的マイノリティの当事者8人が国を相手取り、計800万円の損害賠償を求めている訴訟の第1回口頭弁論が7月8日、東京地裁で開かれた(飛澤知行裁判長)。

この訴訟は、全国5カ所の地裁で起こされている同性婚訴訟のひとつで、東京地裁では「第2次訴訟」として、現行法の違憲性を訴えている。一方、国側は請求の棄却を求めている。

この日、法廷では原告2人が意見陳述し、法的に家族として認められないことの辛さや苦しみを語り、「同性同士だからという理由で大切な人との結婚をあきらめなければならないのでしょうか」と訴えかけた。

同性婚訴訟をめぐっては、札幌地裁が今年3月、別の原告の請求を棄却したものの、同性婚を認めないことは差別であるとして、「憲法14条に違反する」という判断を下している。

●「性別、性自認や性的指向に基づく差別は違憲」

法廷ではまず、弁護団が意見陳述をおこなった。

「『望む相手と結婚したい』。これは先行する第1次訴訟で代理人意見陳述の冒頭で述べた最初の言葉です。第2次訴訟で原告らが求めているものも、違いはありません。『望む相手と結婚をしたい』。それだけなのです」

また、「現在の日本の法律や社会の制度、特に結婚や家族に関する法律や制度が、人の性の多様性から目を背けて制定され、構築されてきた」と指摘。「性的マイノリティであることを理由に差別的な取扱いをすることは、『すべて国民は、個人として尊重される』と高らかにうたう憲法13条に反する」とした。

これ以外にも、同性婚を認めないのは婚姻の自由を保障する憲法24条1項に違反するなどと指摘。新たに「性別、性自認や性的指向に基づく差別的取扱いは、法の下の平等を定めた憲法14条1項に違反する」ことも主張した。

●「同性婚したいなら海外に行けと言われるが…」

続いて、原告の1人で武田八重さんが意見陳述をした。武田さんは、6年以上前からトランスジェンダー男性である一橋穂さんと暮らし、ともに娘を育ててきた。しかし、異性愛カップルにもかかわらず、戸籍上は同性であるため、法律婚ができない状態にある。

武田さんたちは、戸籍上は同性同士カップルであることを職場や親戚にはオープンにしていない状態(クローゼット)で暮らしているが、あえて原告になった理由を次のように語った。

「娘と一橋とは法律上は赤の他人。私たちには社会的な保障はどこにもありません。私に万が一のことがあったとき、娘の不安な気持ちや生活を支えてくれるのは一橋だと思います。でも、娘が望んだとしても叶わないかもしれません。

私に何かあったときに、一橋はそばにいることができるのか。一橋にも財産を残すことができるのか。

今のままでは、私は大切な家族を守ることができません。娘の生活を守りたい、パートナーの生活を守りたい、そう思うことは特別な権利を求めることでしょうか」

現在、世界各国では同性婚を認める動きが広がっており、世界の主要7カ国(G7)で、同性婚やそれに準ずる法制度が整備されていないのは日本だけとなっている。

武田さんは、「日本で結婚できないなら、海外に行けばいいじゃないかといわれることもあります」としながらも、「でも、私は、生まれ育ったこの国で、3人で安心して暮らしていきたいのです。この日本でも、誰もが結婚できるようになることを望みます」と話した。

次回の口頭弁論は9月2日に開かれる。