長崎県の元新聞販売店主が、不要な仕入れを強制される「押し紙」被害にあったとして、西日本新聞社を相手取り、約7年分の押し紙の仕入れ代など、計約3050万円を求めて福岡地裁に提訴した。代理人の江上武幸弁護士が7月27日に明かした。提訴は7月21日付。

訴状によると、原告の下條松治郎氏は2013年〜2020年まで販売店を経営。仕入れ部数のうち、平均して15%ほどが押し紙だったとしている。

特に日本ABC協会の部数調査がある4月と10月には仕入れが増えており、仕入れのうち30%超が読者のいない新聞だった月もあったと主張している。同協会のレポートは新聞広告や折込チラシの料金の基礎データとして用いられている。

実際、販売店側が請求書などをもとに作成し、裁判所に提出した仕入れ部数の推移をみると、開店直後の2013年4月と閉店直前の2020年10月を除いて、4月と10月は前月よりも部数が増え、翌月には減っている。たとえば2017年は「8月:1116部→9月:946部→10月:1316部→11月:1116部」と推移していた。

ただし、販売店にとっても、ABC部数が増えれば、折込収入が増える。押し紙の裁判では、余った新聞が新聞社による仕入れ強制なのか、販売店が自発的に抱え込んだものなのかが争点になることが多い。

強制の有無、毎年4月と10月に見られる部数増についての認識をメールで尋ねたが、西日本新聞社法務広報部は「提訴については確認できておりません」とのことだった。