鬱になり会社を退職した夫が、快復傾向にあるのに全く働いてくれないままで困っている。そんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者の夫は、鬱で会社を退職してから1年ほどになります。今は普通に日常生活をおくっているように相談者には見えますが、まだ仕事は再開していません。それもあり、家計は火の車。大学生になる子どもへの仕送りや家のローンもあるため、相談者は「アルバイトでいいから働いてほしい」と頼んでいます。

しかし、夫は「人に雇われたくない」といい働いてくれません。そんな夫に愛情が冷めてしまった相談者は、離婚を考え始めるようになりました。

そこで気がかりなのが、離婚時の財産分与です。というのも、夫の貯蓄はゼロですが、相談者は「かなりある」というのです。

夫からは「(相談者の)貯蓄は夫婦の共有財産だから離婚するとなったら、半分権利がある」と言われていますが、必ず渡さなければいけないのでしょうか。田中真由美弁護士に聞きました。

●原則は2分の1ずつ分与だが...

妻名義の貯蓄が独身時代の貯金を含む場合、婚姻時の貯金残高を示す通帳などがあれば、特有財産としてこれを除いて分与することが考えられます。

ただ、貯金が婚姻後のものであれば、全て共有財産として分与の対象となります。

分与割合の基準は、現在の実務では、特段の事情がない限り2分の1ずつ分与するのが原則です(2分の1ルール)。当事者の一方の寄与が大きいと認められる特段の事情があれば、修正もありえます。

今回のケースではうつ病で仕事ができない、もしくは仕事ができるのに仕事をしようとしないという期間が長くなった場合には、妻の寄与が大きいと認められる場合もあるかもしれません。

【取材協力弁護士】
田中 真由美(たなか・まゆみ)弁護士
あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。熊本県弁護士会子どもの人権委員会、両性の平等に関する委員会所属。日弁連男女共同参画推進本部委員、家事法制委員会委員。得意分野は離婚、家事全般。
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/