バイト従業員による勤務先での悪質なイタズラを撮影し、インターネット(SNS)に投稿して炎上することが、「バカッター」「バカスタグラム」として、大きな問題となっている。

本人たちは、仲間内限定で投稿したつもりでも、流出して、大きな問題に発展することもある。

悪ふざけをしない、撮影しない、仲間内だったとしてもSNSに投稿しない、といった、過去の教訓が理解されないと、何度でも繰り返されてしまう可能性がある。この記事では、これまでの炎上の歴史を振り返りたい。

●ソフトクリームを機械から直接口に

記憶に新しいのが、今年4月、大分県別府市の焼肉チェーン店で起きた炎上だ。

アルバイト従業員4人が、食品をほおばって吐き出したり、「もう暴れすぎ」の言葉を添えて、ソフトクリームを機械から直接口に入れたりする動画をインスタグラムに投稿。

人気ユーチューバーの動画に取り上げられたことによって、炎上がより大きなものになり、運営会社はこの4人を懲戒解雇した。従業員は「調子に乗ってしまった」と話していたそうだが、取り返しのつかない事態になってしまった。

●ココイチの不衛生な動画

今年6月に起きたカレー店「CoCo壱番屋」の従業員たちの炎上も社会に衝撃をあたえた。

九州のフランチャイズ店舗のバイト従業員が、休憩室で食事をしていたところ、衣服のなかに手を突っ込むと、その手からまかないに陰毛のようなものをふりかける動作をおこなった。

従業員がその様子を撮影した動画を自身のインスタグラム(鍵付きアカウント)のストーリーズに投稿し、ツイッターなどで拡散された。店舗は清掃・消毒のため1日の営業停止をよぎなくされた。

本人たちは「仲間内しか見ないと思っていた」と話していたとのことだが、結局はその「仲間」が外に広めてしまうとどうしようもない。

●2013年に「バカッター」がネット流行語大賞に

過去に起きた炎上も、基本的には構造は同じだ。

2013年、東京都のステーキ店「ブロンコビリー」で、バイト従業員が店の冷蔵庫に入る写真をツイッターに投稿。

問題の発覚をうけて、運営会社は店を一時的に閉めて、清掃・消毒などにあたると同時に、該当の従業員を解雇した。

しかし、再開に向けた動きもむなしく、批判を受けた従業員がネット上で反論したことなどから、問題は瞬く間に大炎上。結局のところ、運営会社は閉店決定にまで追い込まれた。

この2013年には、後述の「蕎麦店食洗機騒動」など数々の失態が発生・報告され、この年のネット流行語大賞に「バカッター」がランクインすることとなった。

●セブンイレブン、おでん吐き出し事件

大手コンビニ「セブンイレブン」は2019年2月、横浜市のフランチャイズ店舗で、バイト従業員らが鍋のおでん(しらたき)を口に含み、吐き出す動画を撮影、投稿していたことを発表した。

ツイッターに投稿された動画が、「汚い」など批判されていた。同社はバイト従業員の解雇を発表した。

●くら寿司のバイトは刑事事件で家裁送致

2019年1月、回転すしチェーン「くら寿司」(大阪府守口市)の厨房で、ゴミ箱に捨てた魚をまな板に戻す様子を撮影して調理しようとするバイト従業員の動画がインスタグラムに投稿された。動画は一度削除されたものの、知人の手によって後日再投稿されたという。

運営会社は、刑事・民事で法的措置をとる意向を発表するとともに、撮影に関わった2人の従業員の退職処分を決めた。

その後、読売新聞(同年6月28日付)によれば、大阪府警が同5月、当事者の従業員2人のみならず、動画を再び投稿した知人の少年も含めた3人を偽計業務妨害の罪で書類送検した。

地検は同6月、17歳の少年2人を偽計業務妨害の非行事実で、19歳の少年(=まな板に戻した少年)を偽計業務妨害ほう助の非行事実で家裁に送致した。

●集合住宅の受水槽で泳いだ

バイトではないが、大和ハウス工業が建設した賃貸住宅の受水槽の点検を請け負った設備工事業の20代男性らが2018年9月、受水槽で泳いで遊ぶ様子を撮影し、TikTokに投稿した。翌年になって、その動画がツイッターなどで拡散し、問題が発覚したことで、大和ハウスは不適切行為として発表した。

「不衛生」などと批判が殺到し、管理会社が水を抜いて清掃することになった。

●「閉店」に追い込まれるも…和解金わずか200万円

2013年、都内の蕎麦店「泰尚」のバイト従業員らが食洗機に入る様子をツイッターにアップした。週刊誌報道によれば、批判が殺到し、店は投稿からわずか3カ月後に閉店に追い込まれることに。約3300万円の負債を抱えて破産したという。店側はバイトの大学生らに計1385万円の損害賠償をもとめる裁判を起こしたが、約200万円で和解したと報じられた。

個人経営の飲食店がバイトの炎上に巻き込まれると、ひとたまりもない。飲食店を運営する企業も、店にスマホを持ち込まないなどのルールを設けたり、バカッターの事例などを伝える研修を実施しているが、リスクをゼロにおさえこむことはできていないのが実情だ。

一方、この蕎麦店のケースも含めて、ほとんどの炎上事例においては、投稿にかかわった当事者の氏名や所属大学などの個人情報もあばかれ、ネット上に残り続ける。就職にも影響があると考えられ、まったくの無傷ではいられない。

有効な解決策が見出せないまま、ツイッターからインスタグラム、TikTokなどにツールだけが進化している状況だ。