都立高校の一般入試では、男女で合格ラインに差が生まれる「男女別定員制」が導入されている。教育関係者や弁護士グループから、この制度を批判する声が高まる中、東京都が制度の廃止を目指していく方針だと報じられている。

毎日新聞(9月21日)によると、都教育委員会が9月21日、都内の私立中学校や高校でつくる「東京私立中学高校協会」と協議し、廃止を目指していくことで合意した。

男女の合格ラインの格差を是正するため、定員の1割を男女合同の順位で合格者を決定する「緩和策」がすでに導入されており、2021年春の入試では普通科110校のうち42校で実施。今回の合意では、この緩和策を拡充し、その影響を踏まえて男女別定員の廃止時期を探る考えが示されたという。

都が同日公開した「令和4年度高等学校就学計画について」によると、中学校の進路指導に与える影響が大きいことや公立・私立間での男女別受け入れ生徒数の変化を考慮し、段階的・計画的に見直しを進める必要があるとして、2022年春に実施する入試結果を分析等を踏まえることとし、引き続き協議するとしている。

●「動きとして遅いのではないか」

この問題をめぐっては、制度の廃止を求めて、都立高の教員や教育関係者らでつくる団体が2021年8月に署名と要望書を東京都に提出したほか、2018年に発覚した複数の大学の医学部入試における不正に関する訴訟の弁護団メンバーの有志が2021年6月に意見書を公表していた。

弁護団メンバーの一人である山崎新弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「来年の結果を見てから廃止を検討するというのでは、動きとして遅いのではないか」としたうえで、次のように話した。

「一気に廃止するのは難しいだろうとは、私たちも認識しています。

今の緩和策は、『定員の1割』として、一部の高校で実施している状況ですが、その割合や実施校を増やしたりすることはできるはずです。

廃止を目指す動きはつい最近始まったわけではなく、1990年代には声が上がり検討していたはずなんです。現行の制度で試験を受けるしかない受験生のことを思えば、遅すぎるように思います」

2022年春実施の入試はどうなるのか。都教育委員会によると、9月24日開催の第15回定例会で、具体的な実施内容を定めた「実施要綱・同細目」が示されるという。

緩和策が拡充されるとも報じられているが、都教委の担当者は、取材に対し、「2022年春実施の入試で緩和策が実施される高校数なども実施要綱に含まれている」と話すにとどまった。