難民不認定処分の異議申し立て棄却を告げられた翌日に、チャーター機で強制送還されたため、憲法で保障された「裁判を受ける権利」を奪われたとして、スリランカ国籍の男性2人が国を相手取り起こしていた訴訟の控訴審判決が9月22日、東京高裁であった。

平田豊裁判長は憲法違反に当たると判断。翌日の強制送還は逃亡などを防ぐためなどとして請求を退けた一審判決を変更し、国に対して、男性たちに30万円ずつの賠償を命じる逆転判決を言い渡した。

この事案は2014年に外国人32人が強制送還されたもの。

今年1月には別の当事者男性が起こしていた裁判の判決で、名古屋高裁が国に44万円の賠償を命じ、確定している。ただし、憲法違反とまでした判断は初めてとみられる。

難民の認定に当たっては、異議申し立てが棄却されても裁判で取り消しを争うことができるが、実際には裁判が起こされる前に強制送還されるケースがある。

男性たちの代理人をつとめた弁護士たちからは「歴史的意義のある判決。入管は今後、こうした手法は取れないのではないか」といった声があがった。

難民申請をめぐっては、難民の条件を満たしていないとみられるのに難民申請と異議申し立てにより、日本での長期滞在などをねらうケースが一部であったとされる。

判決ではこの点に関連して、「当該難民申請が濫用的なものであるか否かも含めて司法審査の対象とされるべき」などとして、裁判を受ける権利(憲法32条)や適正手続の保障(憲法31条)などに違反すると判断している。

当事者の男性の一人は、判決後に弁護士と通話し、「6年間がんばりました。今までととても苦しかった」などと日本語でコメントを寄せた。政治的弾圧を避けるため、スリランカ国内を転々としているという。ただし、この判決が確定しても、現実的には日本への再入国は難しいとみられている。