人手不足などを背景にセルフレジが広まっている。しかし、セルフレジでは酒やたばこなど、年齢確認が必要な商品は基本的に買えない。未成年の購入を防ぐため、「対面販売」が原則とされているからだ。結局、店員の手が必要になり、省人化の弊害になっている面がある。

たとえば、10月12日に東武アーバンパークライン岩槻駅(埼玉県さいたま市)にファミリーマートの無人店舗がオープンした。酒やたばこもあるが、購入時はレジにあるカメラを通して、バックヤードにいる店員からの年齢確認を受けなくてはならない。

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決済システムを開発したTOUCH TO GO社は「対面販売が原則のためです。税務署などにも相談して、この形ならということになりました。これでも一歩前進だと考えています」と説明する。

●酒の自販機はこの20年強で激減

国税庁によると、対面販売は法律上の義務ではないが、未成年者飲酒禁止法や関連条例などがあるため、事実上の原則になっているようだ。

こうした状況は、酒の自動販売機の台数にも表れている。酒の自販機は、未成年者が買えないようにするため、酒販業者によって自主撤廃が進められてきた。1996年3月時点では全国に18万5829台あったが、2020年4月現在では2114台しか残っていない。

代わりに登場したのが、運転免許証などで年齢確認する「改良型酒自販機」というタイプで、現在1万台ほどが存在している。機械に年齢確認させる技術自体はすでに何年も前から存在しているのだ。

では、なぜ無人店舗に採用されなかったのか。前述のTOUCH TO GO社は、「他人の免許証を使うなど、なりすましのリスクがあります」と無人店舗の難しさを語る。

●ローソンの挑戦、なりすましをどう防ぐ?

こうした中、有人店舗ではあるが、ローソンが2022年3月以降、セルフレジで酒類などを購入できる仕組みを本格導入することを決めた。

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セルフレジの脇に置いた専用端末で客の運転免許証を読み取る仕組みになっており、個人情報は保存しない。今年2月から直営店などで実証実験をおこなっていた。

同社広報は「関係省庁とコミュニケーションをとりながら、実験展開してきました。きちんとした年齢確認をおこなった上で販売しています」。有人レジと同じカウンターにあるセルフレジを使うため、店員が客を目視できることが大きいようだ。

コンビニなどにとって酒は、つまみなどの購入も見込め、客単価を上げる利益率の高い商品だ。省力化と未成年の安全をどう両立するかは、業界の将来にもかかわってくる。

ローソン広報は、「セルフレジにおける販売のガイドライン等によりルールが詳細に定まれば、小売り各社においても、もっと取組を推進しやすいのではないでしょうか」とも語った。(編集部・園田昌也)