友人のポケットから自分のネックレスが出てきた——。まさかの展開に動揺する男性から、相談が寄せられました。

男性は友人と車の中にいた際に、自分のポケットに入れていたはずのネックレスがないことに気づきました。友人の様子がおかしかったため、ポケットの中身を見せてもらったところ、なんとそのネックレスが出てきました。友人は「売ってお金にするつもりだった」と弁明しました。

男性は以前、友人が家に遊びにきた後、テーブルに置いていたお金やブランド財布、妻のアクセサリーが無くなっていました。「まさか」とは思っていたものの、これまで無くなったものについても尋ねると、驚くことに「今までも盗んで売っていた」と告白されました。

さらに5〜6年前には男性の家の押入れから200万円を盗んでいたことも打ち明けてきました。

男性は「盗まれた物、お金が返ってくれば被害届を出す気はない」と考えていますが、友人から窃盗被害にあった場合、どのように請求するのが良いのでしょうか。大山滋郎弁護士に聞きました。

●警察に被害届を出すことも有効

——友人は盗んだこと自体は認めているようですが、今後お金を返してもらうのにいい方法はありますか。

友人が素直に盗ったものを返還するか、その分の損害額を支払うというならば、それで話は終わるはずです。こういうご質問があるということは、友人が素直に返還に応じないということだと思います。

被害届を出す気はないとのことですが、被害額の返還を求めるのに一番有効な手段は、警察に被害届を出すことです。刑事事件化することにより、本人も初めて大変なことをしてしまったとの自覚を持ちます。また、現実に刑事処分が行われ、逮捕されたり、前科が付いたりする可能性が出てくる中で、お金を借りてでも弁償しようという気持ちになってきます。

実際問題として、それまでは何だかんだと支払いを拒んでいた人が、刑事事件となった途端に支払いに応じたといった例は、当事務所でも何度もありました。

●窃盗罪の時効は7年

——被害届を出して刑事事件にする場合、気をつけることはありますか。

今回のケースのお金の窃盗は、5〜6年前に起こっています。窃盗罪の公訴時効は7年ですので、時効が成立しないうちに対応することも必要となります。

ただ、被害届を出さないで回収しようということですと、それなりの工夫が必要となります。まず、被害届を出すと脅して、支払いを求めることは考えられます。しかし、下手をすると逆に恐喝罪が成立する可能性も出てきてしまいます。

——弁護士に依頼してお金を返してもらう方が良いのでしょうか。

請求するなら、弁護士などを通して行うことも効果的です。弁護士が出て来ることで、相手も請求する側の真剣さが伝わります。弁護士というだけで十分迫力があるうえ、これなら恐喝罪などの問題も生じないからです。

請求する場合は、裁判を起こすときはもちろん、それ以前の交渉段階でも「証拠」が必要となります。友人本人が認めているとしても、いざ裁判となれば、否定することなどよくあります。

そこで、本人が認めている段階で、話す内容を録音するとか、聞いたことを文書にまとめて、署名を貰うなどの方策を取っておくことが大切となります。こういった証拠は、仮に刑事事件として告訴するときにも必要になってくるので、用意しておくことは無駄にならないはずです。

【取材協力弁護士】
大山 滋郎(おおやま・じろう)弁護士
刑事弁護と企業法務が得意分野。メーカーの法務部門に長く勤め、勤務のかたわらニューヨーク州弁護士資格を取得し、日本の司法試験にも合格した。会社の法律問題を扱う一方、多数の刑事事件を手がける。
事務所名:弁護士法人横浜パートナー法律事務所
事務所URL:http://www.ypartner.com/