スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が名古屋入管の施設で亡くなった問題をめぐり、彼女が生前、DV被害を訴えていたにもかかわらず、警察や入管で適切な対応がされなかったとして、外国人やDV被害女性を支援する団体が11月11日、外国人のDV被害者に対する保護の徹底などをもとめる声明を発表した。

●ウィシュマさんはDV被害をうったえていた

ウィシュマさんは、交際していた男性からDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けていることを警察に相談したにもかかわらず、被害者として保護されず、入管に収容された。ことし3月6日、名古屋入国在留管理局(名古屋入管)の収容施設で亡くなった。

この問題をめぐっては、ウィシュマさんが必要な医療を受けられていなかったことから、真相究明をもとめる声があいついだ。法務省出入国在留管理庁が8月10日に調査報告書を発表したが、その内容に対しても批判はおさまっていない。

●「国際人権基準に基づいた法改正を」

今回の声明は、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク、人身売買禁止ネットワーク、NPO法人全国女性シェルターネット、公益財団法人 日本キリスト教婦人会矯風会、NPO法人ヒューマンライツ・ナウによるもの。

ウィシュマさんの事件について、(1)名古屋入管で、DV被害に関する「措置要領」に従った対応がされなかった、(2)警察が配偶者暴力相談支援センターと連携しなかった、(3)入管のDV理解が乏しかった――と指摘している。

そのうえで、法務省・入管庁に対して、DV被害者対応の再検討や措置要領の改正、職員に措置要領が周知徹底されていなかった原因を調査して改善策にまとめることを要望。また、国際人権基準に基づいて、入管法を改正するようもとめている。

<このような事態は二度と繰り返されてはなりません。DV被害者は、国籍や在留資格の違いによって差別されることなく適切な保護を受けるべきであり、収容中に適切な対応がないまま命を落とすようなことは決して許されません>

<私たとは、この問題に関する検証も再発防止策も極めて不十分であるとの認識のもと、徹底した検証と再発防止策の策定、とりわけ法改正と入管における措置要領の改定を速やかにおこなうよう求めます>

●「外国人DV被害者が救済されていない現実がある」

この日、東京・永田町の参議院議員会館で団体は記者会見を開いた。移住者と連帯する全国ネットワーク・事務局長の山岸素子さんは次のように話した。

「ウィシュマさんのように在留資格のない外国人女性が、DV被害を訴えても適切に保護されず、逆に逮捕される事件は、実は今回が初めてではなく、DV防止法が制定(2001年)されて以降、たびたび起きて問題とされてきました。

DV措置要領の制定(2008年)の背景にも、そうした問題が議論されて、入管や警察の対応に関する通達が合わせて出されています。それぞれ10年以上たった今でも、外国人DV被害者が当時と同じまま救済されていない現実があります」