実家に入った泥棒に愛蔵のオモチャをごっそり盗まれてしまったとして、被害にあったコレクターがツイッターで報告したところ、話題になった。

すでに「犯人」は逮捕・起訴されて、今年1月13日、窃盗・住居侵入事件の裁判が開かれた。傍聴したコレクターが、やるせない胸のうちを語る。

被告人の男性は、コレクターの父親に借金があったとして、「借金を返すため、品物を盗み、それをギャンブルで増やして返そうとした」と法廷で語ったという。

●コレクター引退を決意するほどショッキングな盗難事件

被害にあったのは秋田県在住の30代男性。ツイッターでは「ミクロマン(@micromantom)」を名乗る趣味人だ。

ミクロマンコレクション

子どものころから集めた「ミクロマン」(タカラ、現タカラトミー)のフィギュアや、「トランスフォーマー」(タカラトミー・ハズブロ)などの玩具を多数所有するコレクターとして活動していた。

ミクロマンさんのコレクション

昨年9月、秋田県由利本荘市の実家で保管していたミクロマンなどの玩具が盗まれ、そのほとんどが中古リサイクルショップや、ネットオークションに転売されていたとツイッターに投稿した。

盗まれた玩具は100点にも及ぶ。

11月に入ると、50代男性が窃盗と住居侵入の罪で逮捕されたと報じられた。

ミクロマンさんは、事件発覚当初から、転売されたコレクションのほとんどが戻る見込みはないことを理解していた。

失意のうちに、「コレクターを引退するつもりだった」が、その後、コレクター仲間たちが、ネットオークションに流れていた盗品を買い戻してくれたりして、励まされたという。

警察から戻ってきた品物

●自分のコレクションを譲渡してくれる仲間もいた

「弟の知人が、私と同じくミクロマンコレクターで、ネットオークションの件を知り、いくつか落札し弟の家へ送って下さいました。掛かった費用は弟が月々返しているとのことですが、いずれ弟にも費用を返す予定です。

また、SNSで古くから付き合いがあり、私の影響でタカラの玩具を好きになったという友人がいるのですが、コレクションの足しになるかわからないけど…と、自分のコレクションを譲って下さいました。気持ちだけで十分だと言ったのですが、私からの影響もあり、これからもコレクターを続けてほしいとのことでした」

同好の士として、何かせずにはいられなかった人たちの深い思いやりに心打たれるミクロマンさんだったが、自ら買い戻したものを含めても、被害の3〜4割が回復していない状況に変わりはない。

ヤフオクに転売されていた品を取り戻した際に撮影

そして、今年1月13日、秋田地裁本荘支部の本荘簡裁で、窃盗と住居侵入の罪に問われた被告人の裁判が開かれた。即日結審し、判決は2週間後の1月27日に言い渡される。

なお、玩具を盗まれたのはミクロマンさんだが、被害者は被害届を提出した男性の父親となっている。

裁判を傍聴し終えたミクロマンさんに話を聞いた。

●被告人は罪に問われた事実を認めたが、理解しがたい理屈を展開

「玩具やテレビなどの家電製品を実家から盗んだ起訴事実を被告人の男性は認めました」

十数回程度、実家に侵入し、複数回に分けて品物を盗んだという。

しかし、ミクロマンさんも裁判で初めてわかったことがあり、それはいずれも納得できないものだったという。

「被告人の男性は父の元同僚でした。父からお金を借りていたということは聞いていたのですが、その総額が700万円にのぼるものだったと初めて知りました。この借金が犯行の動機に影響したということでしたが、その主張を聞く限り、傍聴席で何度も首をかしげました」

被告人質問で、男性は「(ミクロマンさんの父親に)どうにかして借金を返さないといけないと思って、品物を盗んで、換金して、すぐにギャンブルで大きくしようと思いましたが負けました」という旨の発言をしていたそうだ。

「盗むとすぐに換金して、その日のうちに競馬や競輪にお金を使ったそうです。ギャンブル依存症を検察から疑われ、本人は否定していましたが…。弁護人から『盗みに入ったのは、お金を返すためであって、ギャンブルのためじゃないですよね?』と問われ、『そうです』と答えていました。私は傍聴席で何度も首をかしげました。盗むんじゃなくて、そのまま借金を返してくれよと思いました」(ミクロマンさん)

また、弁護人からうながされるかたちで、ミクロマンさんの父親や、男性本人の家族に「迷惑をかけた」と謝罪の言葉を述べたそうだが、ついぞミクロマンさんに対する謝罪の言葉はなかったという。

ショーケース。盗まれる前に撮影された

●事件の教訓。もし同様の被害に遭ってしまったら

検察の求刑は懲役2年。被告人の家族から被害弁償の申し入れがあったというが、ミクロマンさんはまだ受け入れる気持ちになれないそうだ。

なお、近々子どもが産まれる予定で、活動に専念することはできないが、コレクターを引退することはないと話す。また、今回の事件に巻き込まれて感じた教訓を教えてくれた。

「これまで撮りためた写真や、所有している物の特徴(部品の欠損やシール、パーツの組み合わせ等)が、盗品が私の物であるという証明になり、犯人検挙や裁判において役に立ちました。

私と同じような被害が今後発生しないことが望ましいのですが、もしものためにも写真を残しておくだけでも備えになると思います。携帯で写真が手軽に残せるのは本当にメリットになると感じた事件でした」